この話はねえ、あたし自身あまり話したくないんだ…
ある日あたしがね、会社のデスクでパソコンをいじってたんですよ。
そしたらメールって言うんですかね、そいつをクリックしたら突然画面にパッ!てね、
「当選しました」って現れたんですよ。
なんか変だなー、おかしいなーって思ったんですけどね。
そんでも内容がね、社長の自宅に御招待って言うんでねぇ、あたし喜んじゃってねぇ。
なにしろ誰も行った事もなけりゃ、社長に会った事すらないって話らしいんだ、これが。
なんか妙だなー、おかしいなーって思いながらも行ったんですよ、社長の家に。一人っきりで。
着いたらもう驚いちゃってねぇ。
山ん中にね、今風に言うとモダンって言うんですかね、ひ〜っそりとねぇ建ってるんですよ…立派な家が。
でもって、家ん中に一歩踏み入れた瞬間……
背筋がゾクーッ…としてね…
なんか、いや〜な予感がしたんだ。
しかも誰も出迎えて来ないんだ、これが。
しょうがない、ってんで勇気を出してね、
「すいませ〜ん……誰か〜……いませんか〜…?」
って恐る恐る…家の奥に進んで行ったら…
バシュッ!バシュッ!て突然、物音がしたんだ!
で、パッ!て振り向いたら……
居たんですよ…!
ムッキムキの……顔中毛むくじゃらの男が……
汗びっちょりで……サンドバッグ叩いてて……
でもって「ようこそ…」って言うんですよ!
あたしゃもう息が止まりそうになるのを必死にこらえましたよ、えぇ。
どうやら、この男がその社長らしいんだ。
仮にこの方をAさんとしときましょうかね。
このAさんを見た瞬間、正直やだなー、やだなー、怖いなーって思ってましたよ。
もちろん、口には出しませんよ、そんな事。
でもってAさんがね、あたしに向かってこう言うんですよ。
「やってもらいたい事がある」って…
どうやらAさんはあたしに何かをさせたがってるんだ。
更にだ、「やらないと後悔するぞ…」なんつって脅してくるんで、あたしも仕方なく従っちゃったんですよ。
でもって、そのまま薄暗〜い部屋に一人で連れてかれてね。
あたしがイスに座って、じーーーっとしてたら…
ドアの向こう側からゆ〜っくり…ゆ〜っくり…とこっちに近づいてくるんだ。
なにかが…ね…
あぁ…これはこの世のものじゃないなって思いましたね。
生きた人間じゃない何かが、スーーッ…スーーッて近づいて来るんだ。
よせよ、おい。
だが逃げようとしても体が固まっちゃって動かない。
ついに、そいつがあたしの目の前にきてね…
はっきりと……こう言ったんですよ!
「はじめまして、ペッパーです!
SoftBankショップへようこそ!」って…!
「ギャーーーッ!!!ペッパーくん!!!」
って思わず、大声で叫んだ瞬間に、
あたし意識が、フゥーッて無くなっちゃったんだ…
でもって、気がついたら機種変してたんですよ、えぇ。
iPhone7に。
にわかに信じられないかもしれませんがねぇ、
いやーあるんですよね、こう言う事が。