働き過ぎなんじゃないか、、？オヂサンも思わず心配してしまう程、昨今出演作が連発されてるエル・ファニング。
本作のトランスジェンダー、レイの役作りは充実のフィルモグラフィーの中でも特筆すべき仕事ぶりじゃないでしょうか。
歩き方や細かな仕草まで、完全に「男の子」のそれ。
しかもただの男の子じゃなく、家族や将来への不安を纏ったヒリヒリする様な思春期の男の子そのもの。
無防備に肌が露わになった折、そっかこの子のカラダは女の子だったんだ、と思い出してしまう程、なりきってる。
このエルファニングを観るだけで、本作の価値はありますが、母親役のナオミワッツも本当に本当に素晴らしい。母として息子の将来を真剣に考え、悩んだり憤ったり憂いたり。陳腐な言葉では言い表すのは憚られるのですが、説得力というか実在感十分。子供の様に跳び跳ねて喜ぶレイを前にした時の、使命感と嬉しさが交錯する表情とか、はぁーすごい。
3世代に渡る物語という事もあり、こちらもエルファニングが出演してた「20センチュリーウーマン」となんとなく重ねて観てしまった所為もあるのですが、もうちょいユーモアの見せ方に深みというか捻りがあっても良いかなーと思ったり。スーザンサランドンのお母さんの背景とかもっと知りたい。
疾走する主観ショットで撮られたスケートボードのシーンの美しさや、あたたかな幕切れの余韻も心地良い映画。公開延期で待たされたけれど、観れて良かった。
