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ノーマル・ハートのRのレビュー・感想・評価

ノーマル・ハート(2014年製作の映画)
3.9
BPMのレビューを無数に読んでたらいくつか言及があったので早速アマゾンプライムで見てみた! 80年代初頭、AIDSがNYのゲイコミュニティを襲い始めるところからストーリーが始まる。当時はAIDSという名がなく、ゲイの癌として認識されて、ゲイへの偏見が激化していってた。のみならず、社会のなかでようやく自由な恋愛とセックスを勝ち取ったゲイたちが、まさに自分たちが勝ち取ったモノによって生命を蝕まれているかもしれないという憶測を受け入れられず、次々と感染者・死者が出てしまう事態に。冒頭浮かれきってパラダイスなゲイコミュニティに少しずつ病の影が覆っていく様子がリアルで怖い。政府がゲイの癌を危険性の高い伝染病であると認めないため、正式な公表もできない。また、研究のための資金も調達できず、治療開発が遅々として進まない。そんな状況と戦うため、仲間たちとGMHC(Gay Men’s Health Crisis)を設立するジャーナリストのネッド。を演じるのがボクの大好きなマークラファロ。だいぶおっちゃんになってて、もう少し若い頃にこういう役を演じるのを見てみたかったなぁと思ったが、彼の恋人役を演じるとんでもなく美形のマットボマーとの愛いっぱいのからみを見てホクホクできたのでよかろう。一緒に暮らそう、のシーンはしゃぎ過ぎてわろてまうわ。で、ゲイコミュニティを襲う病魔に真剣に立ち向かってくれる女医を演じるのがジュリアロバーツ。ポリオで歩けなくなって車椅子に乗ってるほとんど笑うことのない堅物女医という今までになかった役を演じてて、めちゃめちゃ新鮮やった。で、ネッドがいろんな意味で暴れん坊な活動を強行するもんだから、内外ともに煙たがられる存在になっていき、同時に、折角出会えた最愛のパートナーがエイズ発症してしまう…という流れ。テレビ映画であるためか、ネッドを筆頭に色んな人が感情をストレートに爆発させるシーンが次から次に出てきて、ここ!見どころ!ここも見どころ!っていちいち言われてるようでちょっとうるせえな、ってなってしまいました。ここぞってとこだけ爆発やったらもっと効果的だったんじゃないかな、と。まぁポイントポイントでアクセント置かなあかんからしょうがないのかな? 後半はネッドの彼氏の病状がどんどん悪化し、ガリガリに痩せて、体中肉腫だらけになって、生気を失っていく様子があまりに痛ましく、見てるのツラかったけど、そんな彼への慈愛を貫くネッドと女医の姿はホントに感動的やし、悲しすぎた…で、結構えっ!そこで終わるん!っていう…きびしい…現実…革命って本当に難しいものなんだなぁと思った。みんなそれぞれが持ってる許容の感覚って違うもんね。けどやっぱ戦いは攻めが確実に勝っていく。守りじゃ勝てない。彼らの戦いによって救われた命が無数にある。すごいことや。ほんで、本作の背後にある政治的な思惑を知ると、何たるおそろしいことか、と唖然とせざるを得ない。利害関係しか考えられなくなった人間ほど冷酷なものはない。人間の命の重みなんて微塵も考えられなくなるんやから。それはそれでホンマにすごいこと。
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