竜平

余命90分の男の竜平のレビュー・感想・評価

余命90分の男(2014年製作の映画)
4.0
ひょんなことから「余命90分」と告げられてしまう男がその90分で自分の人生を取り戻そうと奮闘する、という話。

2014年に急逝したロビン・ウィリアムズの最後の主演作とのこと。奇しくも「死」という部分でリンクしてしまったのはなんとも悲しい事実、なんだけどもそれによって今作に得も言われぬ深みが出ているのもまた事実。残りの人生をどう生きるか、普遍的なテーマによるヒューマンドラマでありつつ、所々コメディチックにも展開していく。

ひたすら自分本位で癇癪持ちで、クレーマーとかそっち方向を彷彿とさせる厄介者の主人公をロビン・ウィリアムズが好演、そして熱演。まぁ実際にいたら本当にイヤ、というか関わりたくないタイプのおじさん(笑)。本当にずっと怒りや不満を振り撒いてるわけだけど、それにも理由というか、付随する過去の出来事があったりして、嫌われ者だけども憎みきれないという感じ。きっと「人生」そのものに対して彼は怒ってるんだろうなぁなんて。そんな彼と関わることになり、やがて自分を見つめ直していく女医に扮するのがミラ・クニス、こちらもまた好演。いろんな映画で見かける小さいおじさんピーター・ディンクレイジ、彼はやっぱり名バイプレイヤー。90分という縛りがある中で、あからさまにモタモタしてる人に対して見てるこっちもせかせかしてくるという、これは笑いどころ。ビデオカメラを買いに行ったら店員が吃音症だったとかね。そうそう、今作に於いてはちょっぴりブラックなユーモアも散りばめられていて、綺麗事だけじゃない感じがいいスパイスになってたりもする。セリフに「フ◯ック」も結構出てきちゃうってゆー。

「もう先がない」という状況になって初めて見えてくる自分自身の愚かさや心の小ささ、そしてそれに気づくからこそ本当の意味で近づける家族や他人との距離、というもの。これは非常にいい話。こーゆーのは理屈じゃなくて、単純に人として感動できる内容なんじゃないかな。あとはやっぱりロビン・ウィリアムズの最後のメッセージとも取れてしまうあたり、泣ける。彼のこれまでの演技に、最大級のありがとうを。
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