パプリカはじめとした今敏作品を彷彿させるような目眩く夢の世界。脈絡なく繋がっていく場面、衝撃音と共に現実に引き戻される演出はだれしもが持っている夢に対する手触りを見事に再現していて、体験的な夢の映像化に成功しているように感じた。
加えて、この夢が3.11からのセラピーに繋がっている点もとても評価できる。コロナ以降メジャータイトルでも多く取り扱われるセラピーの映像化を5年以上も前に3.11を題材にこのクオリティで作り上げていたのは先見の明がありすぎる。
しかし、トーンとしては初期黒沢清作品のような得体の知れない不気味さもあって、理不尽な恐怖とセラピーが同居している夢という題材ならではの話運びが最高。
最終的な落とし所も文句のつけようがなく、何度も見返したいと思ってしまった。
