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海のトリトンのmitakosamaのレビュー・感想・評価

海のトリトン(1979年製作の映画)
3.2
なかなか複雑な事情で作られたアニメ版トリトン。
プロデューサーが西崎義展ってだけで如何わしいもんな。しかも富野由悠季(当時喜幸)の初監督作。これまた富野節炸裂でバッドエンドに手塚も「自分の作品じゃない」と言い切っちゃったという。

そうは言っても手塚原作にキャラ原案、富野演出だもの。面白いから困っちゃう。当時トリトンのキャラに女性ファンが殺到したとか。腐女子の誕生はこの作品からと言っても過言じゃないんでしょ?凄いよなぁ。

そんな経緯のテレビシリーズの総集編。でも制作は西崎と実写の映画・監督舛田利雄でしょ?決して上手い編集だとも思わないなぁ。
富野1人で編集した方が傑作になったのではないか?
しかも、如何にも児童アニメなナレーションが結構クドいんだよな。ヤマトの影響でアニメブームだっただろうに。それであのナレーションのセンスは無いよ。

テレビ版からのピックアップだが、驚くべきはトリトンがポセイドン族の怪獣を倒して怯えるシーン。地面に血が広がるのを見て、敵を殺すことに恐怖するという描写。このシーンにより、子供が過酷な運命を背負わされるということを演出してる。これは富野の比類無きセンスだよな。

人魚のピピはトップレスのロリキャラ。今じゃ100%アウトだな。そしてトリトンとピピが和解しない展開が長々と続く。

そして今作で完結しない上に、続編が作られなかったという悲劇的な作品。
素晴らしいサントラとドラマチックなストーリーが魅力だが、作品フォーマットに恵まれなかったのは不幸だな。
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