八木

フォーカスの八木のレビュー・感想・評価

フォーカス(2015年製作の映画)
3.8
最初っから最後まで興味が持てなかった。多分僕はウィル・スミスという役者がまったく好きでないのだと思った。あんまありがたくないのな。代わりにマーゴット・ロビーのにじみ出るコメディ感とさわやかなエロスは好きです。役者としては特に好きでないです。
それでもこの映画がよいと思うのは、この映画を求めてやってきた人に、かなり誠実に欲しいものを与えていると思うからです。つまり、スーツのカッチョイイウィル兄貴と、さわやかお色気ロビー姉さんを視姦しながら、「ああこれ凄腕詐欺師たちが犯罪を成し遂げるタイプの映画ね」「そして僕たちを見事なトリックでだまして翻弄していただけるのね」「シャレオツな美術と音楽に、バイオレンス控えめでデートムービーとして機能していただけるのね」と思ったらそのような商品をきっちり納品していただけた。そして、この映画は歴史に残る名作にならないし、興行収入で何か記録を出すような映画にもならないことをバリバリ自覚している。人が根源的に持っているおかしさ、かなしさ、切なさだとか、歴史の持つ重みだとかにも一切触れず、ひたすらポップにお話が進んで100分台でエンドロールを拝むことができるのです。この過不足のなさは、プロフェッショナルの仕事ではないでしょうか。
よって、家で一人で見るのに、ある意味では最も不向きな作品かもしれないので、この映画をレンタルして一人家で見るのだったら、庭のツツジにお水でもあげていたほうがよいかもしれません。
八木

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