dm10forever

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのdm10foreverのレビュー・感想・評価

4.7
【コイントス】

「パ~ドレ~、告解を聞いてください。私は今まで殆どMCU作品を観てこなかった愚かもんにございます。しかし、本日アベンジャーズインフィニティウォーを観て、感動のあまり涙を流してしまいました。今まで熱心にシリーズを観てこられた信者の皆さんに何とお詫びしたらよいか~」

すみません、懺悔から始まりました(笑)

いや~~~やられましたね。とんでもないスケールのお話で、つい先日「レディ・プレイヤーワン」が今年度No1だと信じて疑わなかった気持ちが揺らいでおります。
先に書きました通り、MCUに関して言えば「スパイダーマン」「ブラックパンサー」「ガーディアンズオブギャラクシー」しか観ていません。
理由はいろいろとありますが、根本的に「DC派」を公言していた自分としては、本当は観たいくせに「MCUなんてよ・・・」と斜に構えていたのも事実です。

そんなこんなで皆さんほど熱いレビューを書くことは出来ませんが、自分なりに感じたこの作品の凄いところを。

まず、これだけ主役級のキャラクターを惜しげもなく同じ画面に出すという時点で、絶対バランスがおかしくなりそうなものなのに、いい意味で「平等に」各キャラを扱っている感じを受けました。
それも顔見せ程度ではなく、それぞれの個性がちゃんと生きていて初見のキャラクターすら感情移入できてしまいました。
2時間ちょいの映画であれだけのキャラクターを使って、しかもストーリーを成立させるって・・・よくここまで仕上げたもんだと唸るしかありません。
ただ、そうは言っても主軸というかリーダーというか、物語の方向性を決める中心人物ってやっぱり必要で、その人を軸に物語のテイストが決まっていくのが定説ですが、登場するキャラクターによって物語のテンポまでガラリと変えてしまう演出は「凄い」の一言ですね。
それまでシリアスな感じで進んでいたかと思いきや、あの「お調子者集団」が現れると一気にコメディパートのようなやり取りが繰り広げられたり・・・。でもそれも物語の一部としてきちんと共存している。まるでQUEENの「ボヘミアンラプソディ」のような圧倒感がありました。

この物語の悪役である「サノス」は突然沸いてきたわけでもなく、『ガーディアンズ~』などでも「最強の悪党」としてチラチラ出てきていたので、その辺の繋がりも無理がないというか、MCUのスケールのデカさですね。こんなに壮大な着地点を想定して作っていたとしたら・・・。

で、そのサノスなんですが、悪いです、強いです、相当に。
でも何故だろう・・・最強で最恐なのに「最悪」ではない。
薄いという意味ではない。
彼の目的が実は「理性的」なのだ。
方法自体は強引で無慈悲なものなのに、何故か彼の目的を知るにつれ、それが実は自然の摂理に適ったことを言っているなと何処かで頷いてしまう部分もあったのだ。

そこがこの物語を複雑にさせている。勿論いい意味で。

単純に強いだけの悪者なら「やってしまえ!」とヒーローを全面支援ということで観る側も迷うことはないですが、もしそうだったら、ひょっとしたらこの作品はここまで高評価を得られていないかもしれない。

ある意味では「理に適った」悪役に対して、ヒーローたちの立ち位置は実は曖昧で、行きつくところは「そんなことをしたら今生きている大切な命が失われてしまう」という、一見正義だが、限りなく感情論に近い理屈。

それ自体は悪いことではない。そもそもの生い立ちや目的は違えど「アベンジャーズ」というチームを作った時点で、その目的は「守ること」だったはず。だからアベンジャーズは正義なのだ。
で、いくら自然の摂理に適ったこととはいえ、神でもやってはいけないことをやろうとするサノスはやはり「悪」なのだ。
しかし・・・という不思議な感情。

それにしてもサノスの強さは尋常ではない。今までの各キャラクターたちの単体出演作品が、あたかもこの作品のスピンオフだったかのようなくらいのスケールの違いを見せつけられる。

以前ジャスティスリーグの感想の際に「一度チームを組んだら、もう単体作品に戻ることは難しくなる」という趣旨のことを書いた。
一度でもチーム戦で敵を倒すと、パワーバランスがそこを基準にしてしまうため、今後現れる敵の強さに一種のインフレが起きるからだ。

だけど、今作のサノスを見て「ここまでの絶対的な力」であれば、もはやパワーバランス云々の次元を超えているんだなというところまで来ていた。
ある意味では非常に潔いとすら感じる。
「一人じゃ無理だけど、みんなの力を合わせれば!」というご都合主義ではなく、何があろうと勝てない絶対的な存在。まるで絶頂期のラオウのような。

でも、なんやかんやで何とかするんかな~なんて思ってたら!!ですよ。
今までの映画の中でも上位にランクするくらいの残酷なラストが待ち受けます。それはまるで「コイントス」でもするかの如く、静かで無慈悲な展開。

シリーズにほとんど触れていない僕でも呆然として涙が出ました。横で観ていた知らないお姉さんはハンカチ出して号泣してましたし・・・。

今までの作品も改めて観てみようかな・・・。でも今見ても気持ちの整理がつかないかもしれない。
もうちょっと待って、せめてもの世界のラストを見届けてから改めて全部を見直そうかな・・・。なにしろ今は余韻が凄すぎて何も受け入れられそうにないから・・・。
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