このレビューはネタバレを含みます
見終わって、いまけっこうびっくりしている。「指輪物語」のサウロンが指輪を手にしたところで物語が終わったようなものだから(o_o)
サノスの大望が成就し、宇宙から生命の半分が消えた。アベンジャーズやガーディアンズのメンバー、そしてニック・フューリーさえ。でも私は楽観的である、だって消えたヒーローたちの何人かは次の作品が決まってるからだw
私のささやかなアメコミ知識ではサノスを倒したのはキャプテン・マーベルで、MCUの予定では「アントマン・アンド・ワスプ」の後に「キャプテン・マーベル」が控えている。だからこれからの展開では、キャプテン・マーベルと残ったアベンジャーたちがサノスを倒してインフィニティ・ストーンを奪い、消えた人々を戻す手段を見つけるのではないかと思っている。死んだ人を復活させるのは難しいが、消えた人々は別の次元に移動しただけ、といった設定なんではないかと。そしてソウル・ストーンを破壊するとガモーラも戻って来てくれるし、マインド・ストーンを戻せばヴィジョンも復活してめでたしめでたし。それでも石の力で消されたのではないロキは戻らないかも…(´・ω・｀)
さて映画について。こういうオールスターキャストの映画は、みんなの見せ場を作ろうとするあまり枝葉の多い雑然とした話になりがちなのであまり好みではない。そういう意味で、たとえばシビル・ウォーはいまいちだと思っていた。
インフィニティ・ウォーはこれまでのMCU作品で最多登場ヒーロー数(でもホークアイは出ませんw)ということで、単純に時間を人数で割ると1ヒーローにつき3分とか、そういう冗談まで出ていた。なのであんまりストーリーには期待していなかったんだが、これまでのMCUの集大成ともいうべき堂々たる作品に仕上がっていた。
MCUでこれまで世界の交わることがなかったヒーローたちの初顔合わせというだけでもワクワクするのに、このマッシュアップが実にうまくいっているのだ。ソーとスター・ロード、アイアンマンとドクター・ストレンジ、キャプテン・アメリカとグルート…ワカンダ国王とともに闘うロケットなんて想像もしなかったw
ヒーローとはいえその力はさまざま。ソーのように文字通り「神のような」力をもつヒーロー、アイアンマンやブラックパンサーのように生身の人間でありながら科学でパワーを得たヒーロー、キャプテン・アメリカやスパイダーマンのような一種の強化人間、ドクター・ストレンジのように魔術を操るヒーロー。
サノスという強大な敵を前にしたとき、彼らはそれぞれが自分なりにできる限りの力をふるう。ソーのように神の力がなくても、たとえ蟷螂の斧に過ぎなくても。それぞれの個性があますことなく活かされ、ともに手を携えて戦えばサノスさえも倒せるかに見える。ニダヴェリアでソーが星を再生させ、新たなハンマーが鋳出されたとき、グルートはそのハンマーに柄を与えた。この二人の共同作業ほど、この作品を象徴するシーンはなかったように思う。
あとで考えればサノスを倒すチャンスはわずかながらあった。だがそのチャンスは愛する人や仲間の犠牲を伴うもので、ワンダ以外はそれを拒否する。その連鎖がカタストロフを導き、そして最後にワンダが払った犠牲さえ、スタークを助けるためにドクター・ストレンジがタイム・ストーンを手放したことで無駄になってしまう。この運命の皮肉はあまりに悲劇的だ。
そしてヒーローたちが文字通り束になってかかっても倒せなかったサノス。彼はアベンジャーズ結成のきっかけになったチタウリ侵攻以来、さまざまな事件の黒幕として見え隠れしていた。彼を突き動かしていたのは権勢欲ではなく、「宇宙は有限なのに生命が多すぎるために損なわれている、だから生命を半分に減らさなくてはならない」という信念だった。誰もがそれに気づいているが、それをやり遂げる意志を持っているのは自分だけである、そういう使命感が彼の原動力だった。彼は彼なりに世界をより良いものにしようとしたのである。たとえ愛する者を犠牲にしても。狂信者ほど手に負えないものはない。使命を果たして安らかな表情のサノス、これがラストシーンになるとはほんと思わんかった…でもいま頼めばインフィニティ・ストーンをくれるかもしれないw
「アイアンマン」からちょうど10年。ヒーローたちの変遷を見守ってきたファンにとって、この作品は甘酸っぱい思い出が詰まった卒業アルバムのようだった。どのヒーローを見ても、彼や彼女のこれまでの戦い、生い立ちや失ったもの、守り抜いたものに思いを馳せて感慨にふけらずにいられなかった。本当に見事な集大成で、製作陣には感謝しかない。本当にありがとうございます。
ところでタイタン組で消えなかったのはスタークとネビュラちゃんだけ？ネビュラちゃんはスタークを連れ戻す大役で、次も出番あるって思ってよい？
