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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのJIZEのレビュー・感想・評価

4.4
宇宙船で雷神ソーが仲間を引き連れ故郷アスガルドを離れ新天地へ向かったその直後を舞台に6つの特異点を手に入れるため魔人"サノス"が英雄たちを跳ね除け地球の侵略を目論むその全貌を描いたMCUシリーズの第19弾‼主体の物語はまずまず,方向性としては一旦全部をリセットして始発点へ戻す作業を為したうえではかなり面白い。凶悪なヴィラン側を初の主役に召還させヒーロー集結を主眼に置いてないのもプロットとして異質で好感が持てた。同時に集大成となる本作は過去18作品の布石が回収されるようなカタルシスが会話劇,結束,小ねたなどに埋め込まれている。また近年MCUの潮流から見ても「ホムカミ」や「バトルロイヤル」など比較的にコメディ世界の単独作が連発していた事からシビアな毛色に一気に覆すうえで本作は順当な表題作に思えた。シリーズの前作にあたる「ブラックパンサー」での"ワガンダフォーエバー"からああいう絶望のアプローチで一気に現実へ戻させるサノスの屈強な破壊力にもある意味痛快でならなかった。それぞれの連携かつ競演(引いては笑演)が織り成す過去18作分の超人的なお祭り要素を差し引いても善側の魅力をここまで多種でアプローチできたのはキャラひとりひとりの個性がうまく立っているからであろう。作品の冒頭であの場所から地続きに幕が開けあるキャラとのVSサノス戦で怪力対決が始まるくだりから感情が一気にアガッたのも事実だ。今回で特に改めて感じたのがハルク(バナー)が完璧にギャグ要員と化した点,ストレンジのほぼ無能感,スターロードの自我を抑制できない欠落性などキャラそれぞれの善い部分と悪い部分がルッソ兄弟のユーモアな手腕により丁寧に抽出されている。

→総評(人類を半分に減らすマーベル革新作)。
総じて各キャラ同士の超人アンサンブルを盛り込みながら語り口はあくまでも敵視点でダークサイドに描き切る今までのMCUの中でも怠慢期を吹き飛ばす程の威力がある傑作だったように感じました。また上映時間149分という長さも相まり正直な印象はMCUの飽和状態も来るどころまで来ていて今後どう収束を付けるのか…戸惑いはかなりある。アベンジャーズ勢が全員フルぼっこ状態にされる見方では類をみない異質な接待のされかただったようにも感じる。いちいち描写の一つ一つが贅沢で凄い。ルッソ兄弟の手腕がここにきて再び開花したなという印象を受ける。単独作品を仕上げれる主役勢が最初から最後までで軒を連ねてるため各要因がドッキングされた時に生じるカタルシスも無限に生じていた。サノスがインフィニティストーンを手に入れるくだりでも序盤から各ダンジョン毎に区切り小粒で各区域に散らばったヒーローたちの魅せ場の連発が展開される構成は抜けが効いてて見応えあった。苦言をていせばサノスの幹部がやはり存在感がなく薄い点や英雄たちの各要素と要素がコネクトするまでに若干の間延びがあり展開が中々転がらない点,石を6つ集めて敵が覚醒する直球のプロットを長尺に交えすぎな印象も受けなくはない。最後で自然摂理的にああなる描写も悪く言えば端的に説明不足でシュール,終幕の閉じ方としては物足りないに尽きた。なんだかんだ飛び入り参加したソーのいいとこ取り感が全編であるが次作の「アントマン&ワスプ」から再び起動する流れに向け一度MCUの潮流に削除作業を掛け体制を整えるまさに革新期を担うフェイズ3の超重大な作品であった。
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