オレンチ

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのオレンチのレビュー・感想・評価

4.9
ルッソ兄弟、脚本家2名がサノスについて、濃厚に語っていました。

その他、あの人の生存確認発言やハルクについてなど!

https://moviework-orenchi.com/backside-infinity-war/


以外、前回のネタバレレビュー






『いい映画というのは始まりと終わりで、殻を破るかのように登場人物の見え方が変わってくるものだ』
──町山智浩。

マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)も10周年ですか…。
2008年の『アイアンマン』から始まり、2012年『アベンジャーズ』で映画史に残るであろう大成功を遂げ、昨今のユニバースブームを作り上げたと言っても誰も否定はしないでしょう。
そんな最初で唯一!?のユニバース成功シリーズもとうとうクライマックスを迎えているわけで…
よくぞここまで期待感を維持どころか右肩上がりで走り抜けてくれたと思います。
ロバート・ダウニー・Jrを始め、ほぼ無名だったジョス・ウィードンを起用するなど、思い切りの良さや、とんでもないプロデュース力を感じます。
思えば、『アベンジャーズ』のスタッフロール後、なにやらヤバげな奴の不敵な笑みを見て、あいつはなんなんだと調べ、サノスってなんか聞いたことある!確かゲームで!…みたいな感じでどんどん掘り下げていき、とにかくヤバイ奴だということを知った、あのサノスが……
あのサノスが遂に…!!
6年越しのワクワクが遂に目の前までやってきているってだけで爆発しそうですね。

ただ『ブラックパンサー』が超絶面白かったわけで、本作を食ってしまうんじゃないかなんて噂もされていましたが、まるでそんな心配はいらなかったですね。



前置きが長くなってしまいました。
というわけで、劇場にてIMAX3D字幕版を1回鑑賞してきました!!!
本来なら『ソー・ラグナロク』と『ブラックパンサー』をしっかり研究して文章にした後、また本作も何回も見た上で研究して、レビューとすべきなんですが、もうこの気持ちを抑えきれず投下します。

一回しか見てないのでまだ粗も見えてない状態ですし、鑑賞から少し時間が過ぎてしまったため記憶を掘り起こしながら思いの丈を書いて行こうと思うのですが…

とりあえずシリーズを見てないとよくわからないからダメ 見たいな感想は取っ払います。
シリーズ通さず本作を見ようとしたことの方がどうかしてるので。

率直に言うと、話のまとまり方が異常なくらい洗練されている!
これだと思います。
監督は以前、『パート1、パート2のようにはせず、ちゃんと一作として終わらせる』と語っていましたが、正直2時間40分ごときでまとまるはずがないと思ってたんですよ、僕。
蓋を開けて見たらこれでもかって言うくらいまとまってました…。
もはや職人技の域ですよこれは。

ちなみに本作は大きく分けて4本のラインから成っていると感じているので順を追って書いて行きますね。

で、冒頭。
ファーストビューからもうとんでもないことになっているわけですよ。
『ソー・ラグナロク』の希望感あるラストから直結してあの始まり方なわけで、普通に見せる数倍は絶望感を感じれたんじゃないかと思います。
そのままテンポよくハルクをサノスにぶつけることで、サノスのヤバさを改めて再確認させられますよね。
だってあのハルクが…
自信家のトニー・スタークにさえ、『こっちにはハルクがいるぞ』とまで言わせたあのハルクが…
どんな時でも弱みを見せなかったロキが怖気付くほどのあのハルクが…
よりにもよって素手で完膚なきまでに…立てなくなるほどボコボコにされるのですから…。

ここから次の展開までの流れも完璧だなぁと思います。

冒頭の絶望感とサノスのヤバさの再確認は完璧として、次にやらなければならないことは、
"地球人にサノスのヤバさを知らしめないといけない"
もっとクローズアップすると、
"アベンジャーズ達に知らしめなければいけない"

だと思います。
さらに鑑賞者としての我々は、サノスがいかにヤバい奴なのかもうすでに知っているため、ここでダラダラされると失速感を感じてしまうんですよね。
で、本作がどのような展開を見せるかと言うと、"現場にいた最も話のできる奴が、地球上で最も話のわかる奴のところに落ちて来る"ですよ。完璧じゃないですか?
後者はもちろんドクター ・ストレンジのことですが、彼の能力を持ってすれば、なんなら一瞬で関係者全員に状況が伝わってもある程度納得できると思うんですよ。
そのまま流れるようにエイリアン来襲という次の見せ場まで行くじゃないですか!これ以上ない綺麗なアルゴリズムを見た!という感じでしたよ!
さらにここでは空撮ではなく一人称で表現されるため、よりその場の異常感が際立っていると思います。

で、ですよ。
やってきた見せ場の入り口である、ブラックオーダーとの対峙シーン!
あのシーンのヒーローマンガ感、最高ですよね。
『マン・オブ・スティール』でクリプトン人がやってきたときにも似たようなシーンがありましたが、どちらもヒーローマンガじゃないと出せない味があると思います。
ごちゃごちゃ御託は無しにして、そこにあるのはこれから戦う!!ただそれだけで、ヒーロー映画には必要不可欠な味だと思います。
さらにここでヤバイのはサノスだけじゃないってことも知らしめてくれますね。
ここまででトニー・スターク AKA アイアンマンを筆頭にした1本目のラインが完成しました。

続いてパッとテイストが変わったあの感じ!もう肌で感じますよね!
ガーディアンズが来る〜〜〜!!!
クロスオーバーという祭りに参加したとしてもガーディアンズらしさを崩さないあの感じ…なんならクロスオーバーをも飲み込むあの感じ…。
ガーディアンズファンとしてはありがとう!!!って感じですよね。
銀河の愛すべきろくでなし達は神をも飲み込むということが証明された瞬間でしたね!
ここら辺でマイティ・ソーを筆頭に2本目のラインが完成したというところじゃないでしょうか。


話を地球に戻し、登場するのがキャプテン・アメリカ改めノーマッド!!!!
お披露目が渋すぎる!!!
さらっとブラックオーダーを撃退し、でた決め台詞が『故郷へ』ですからね!
アメリカでもニューヨークでもなく故郷という表現をキャップが使うらへんにとてつもない粋を感じます。
ここでキャプテン・アメリカを筆頭にした3本目のラインが完成したんじゃないかなと思います。

ここまで僕の思う3本のラインをずらずらと書いてきましたが、これらの中心にいるアイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカはアベンジャーズの中でも最重要人物として扱われており、ビッグ3ともいわれます。
で、『アベンジャーズ』シリーズはいずれもこのビッグ3を基点に鑑賞すると、それなりのロジックが見えてくるので面白いです。

では4本目のラインは誰なのか…
もうお気付きの方も多いと思いますし、そう思ってる方も少なくはないと思いますが、もちろんサノスですよね!
というか、このオールスタームービーの中で、たった一人主人公を選べと言われたら僕は迷いなくサノスを選びます。
レビューの冒頭に町山さんの言葉を引用させてもらいましたが、正しく本作のサノスに当てはまると僕は思います。
そしてサノスを主人公にしたことが、本作をヒーロー映画という枠を超え、紛れも無い名作に仕上げた要因だと思います。

そもそもサノスって、とりあえずすげー強いやつで、メチャクチャ悪くって、インフィニティストーンを集めているってくらいしか認識が無かったんですよね。
それが本作で、なぜ石を集めているのか、集まった結果何がしたいのか、何故それがしたいのか…
物語が進むにつれ、サノスの心境を紐解きながら何故何故分析をしてくれてますよね。
映画が終わる頃にはサノスという人物の苦悩と野望は理解できていると思います。
『ダークナイト』のジョーカーのように純度100%型の悪役かと思いきや、『るろうに剣心』の志々雄真実や、『トライガン』のナイブスのように(例えがマンガですみませんw)誰がなんと言おうと自分の正義を貫く型の悪役だったということに気づきました。
で、ラストカットのボロボロになり、黄昏ながら見せるなんとも言えない笑顔。
サノスが理想とした平和が完成されたことを意味し映画が終わります。
つまり、サノス勝利したところでキレイに映画が終わるんですよね。
大量虐殺がキレイという不謹慎さは置いといて、ここまで悪が主人公として扱われ、勝利した映画が他にあったでしょうか?
『リディック』公開時に"悪が主人公の時代に…"みたいなキャッチコピーがありましたが、結局ヒーローと変わらねーじゃんみたいな感じでしたしね。
次は気になれど、To Be Continueでもないこの終わり方は正直凄いです。
タイトルの消え方の余韻で放心状態でしたよw
サノスが泣いたあたりから、あっこいつが主人公だなって思いましたね。
ちなみに、見終わってからいうのもなんなんですが、MCUを1から見直している時に思ったんですが、レッドスカルの終わり方、『アベンジャーズ』でソーとロキがアスガルドに帰った時と同じ演出だったし、ぜってー死んでないし、いつか再登場するな!って思ってたら本当に出てきてかなり嬉しかったのを覚えてますw

サノスの魅力が人物像だけかと言われたら全くそんなことはなく、彼の強さの見せ方たるや半端じゃなかったですね!
多分サノス最大の見せ場である、アイアンマン一行との戦闘シーンはどこをとっても予想の遥か上を行ってくれていて、豪快かつ爽快。
見てるだけで楽しかったです。
月落としとかもうね…w
日本人なら99%くらいの人がドラゴンボールを例えたくなりますよね…w
あとここで個人的に嬉しかったのが、ピーター・クイル AKA スターロードの活躍ですねー!
アイアンマン達と合流したシーンも含め主役級に遅れをとらない活躍の仕方!
割と多くの方の不安に答えてくれた瞬間だったんじゃないでしょうか。

さぁ物語はクライマックスに向かい、ソー達が新たな武器を求め向かった先に現れたドワーフがまさかのピーター・ディンクレイジ!!
『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンなら僕も含め大喜びといったところじゃないでしょうか!?ティリオンがね〜…まじいいんすよね〜…w
で、すったもんだしてソーが新たな武器を手にするんですが、正直ここまてソーパートは若干退屈でした。
ですが…ですが……
もう一回言います。
で!す!が!
ソーが新たな武器を手にしようとしたあの瞬間からキャップチームのピンチに駆けつけるあの瞬間まで…
かっこよすぎでしょ。
特にピンチに駆けつけたあの瞬間は、絵面がカッコイイだけで涙したのは初めての経験かもしれないです。

またここから基本的に各ヒーローのサイドキック達がタッグを組むシーンが目立ちますが、組み合わせの妙がまたセンスありますよね。

そんな本作大絶賛で悪いところがまだ見えていない僕ですが、一つだけ気になったところを挙げるとしたら、守られっぱなしのビジョンに納得いかなかったですねー。
そりゃ石を奪われたときのリスクを考えれば当然なんですが、あまりにもお姫様感というか…。

あとねー、宇宙からやってくるブリー・ラーソンの話は過去の話だからいいとして、
『アントマン&ワスプ』はどんな心境で見たらいいんだーーーーーーー!!!って感じですね。サノスの件を差し置いて、わちゃわちゃやってる場合なのか!?どうなのか!?

『アベンジャーズ4』までの間にその2作を挟むことで、とてつもないプロデュース力を発揮するMCUの展開に超絶期待しながら後1年じっくり待ちたいと思います。


なぜハルクは出てくることを嫌がったのか!?
消えた仲間達は!?
集ったビッグ3はどのような展開を見せるのか!?
トニーとスティーブの関係は!?
気になることは山盛りです!

最後まで長文・乱文にお付き合い頂きありがとうございました。

またセル版がでたら気まぐれで追記しようかなと思います。