Inagaquilala

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.5
アメコミ・ヒーロー物はあまり得意ではないので、この作品で第19作目に当たるという「マーベル・シネマティック・ユニバース」の半分も観ていないため、冒頭からキャラクターたちが入り混じり、営々と引き継いできた物語の展開も、いまひとつ頭のなかで展開していかないのだが、もしこの作品で初めてこのシリーズを観る人がいたら(そんな人は1割もいないと思うが)、きっとこのめまぐるしい登場人物たちの出入りには目を回すのではないだろうか。

とにかく、自分のなかでキャラクターたちが整理できないまま、物語はどんどん舞台を移しながら進行していく。宇宙船を操縦する動物が、去年観た「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のキャラクターだと気づいたのは、彼らが登場してからしばらくたってのことだった。とにかく、「アヴェンジャーズ側」には、次から次へとキャラクターたちが登場するため、勢いこの作品では一貫して屹立している、アベンジャーズの「ラスボス」、宇宙最強の敵サノスに目がいってしまう。たぶん、製作者側も、本作品ではこの殺戮の帝王サノスを「主役」に押し立てて、全編を構成しているフシもある。

個体数が増え過ぎた宇宙のバランスを保つため、生命の半分を殺戮しようとしているサノス。たぶんに環境問題にも通じるも彼の主張は、一見、筋の通ったものにも描かれる。養女への思いなど、やや人間的な感情をもたせ、彼を「主役」に仕立てる演出には、どうしても目くらましのような感覚を抱いてしまう。マーベルのキャラクターたちが単独ではほとんど太刀打ちできないような力を彼に与えているが、それならば、前述のような人間的なエクスキューズは無用なもののように感じる。そのあたり、近年のヒーローものの「悪い癖」のような気もする。

おそらく上映時間2時間半のうち、8割以上がバトルのシーンのように感じたが、その場所も同時多発的にアフリカや宇宙で起こるので、ダイナミックな展開よりも、ややめまぐるしさを感じた。ただ、新たな趣向として、「ブラック・パンサー」の故国ルカンダで戦われる、まるで関ヶ原の戦いのようなに白兵戦には驚いた。たぶんバトルのシーンに新味を加えるために導入されたのだろうが、このシーンは、バトルが苦手な自分としても、なかなか興味深いものとして映った。

そして、問題はラストの展開だが、最初から「パート1」、「パート2」と題した物語として企画された作品だけに、やむを得ないと思うが、それならば当初の通り、きちんと「パート1」と表示するのが真っ当なやり方だったのではないかと感じた(当初は次作の「アベンジャーズ4」とともに「Avengers: Infinity War Part1」、「Avengers: Infinity War Part2」の2部作として企画発表されていたが、それぞれ独立性が高いとの理由で別タイトルとなり「パート1」表記が削除された)。日本でのオープニング週末の興行成績が、前作「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」より15.4%減少したのも、そのあたりにあるのだろうか。世界的には問題ない興行成績を上げているので、まあ「名探偵コナン」の新作とバッティングしたのも関係したのだろうか。
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