YasujiOshiba

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

-
話の途中で終わると聞いて行く気がなくなっていたけど、今宵、ナギちゃんの解説を聞きながら鑑賞。大好きな『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のメンバーもいい役で登場したし、カンバーバッチのドクター・ストレンジの活躍や、ブラックパンサーのワカンダ王国の姿も見ることができたので大満足。続々と主役級のキャラが登場してくるのだけれど、実にうまくストーリーを紡ぎ出している。

その核心にいるのがサノス。ジョー監督の言葉では「新世代のダース・ベイダー」ということ。ベイダー卿が息子を叩き落とす父なら、サモスが突き落とすのは娘。しかも、突き落とすその瞬間が愛の告白になるという設定だから、うまいよね。

愛するがゆえに殺すことができるというのは、たしかに英雄の条件なのかもしれないけれど、それは孤高の英雄。サノスが孤高を目指すのに対して、アヴェンジャーズやガーディアンズたちは、反発しながら連帯へと向かう。ところがこの連帯ってやつが、じつはやっかいなものだってのは、未見だけど『シヴィル・ウォー』あたりで描かれているのだろう。連帯はかなりの確率で裏目に出るものでもあるわけだ。

だとすれば、意志の強さにすがる孤高に対して(なんだか不気味なまでに誰かに似てきていると思うのは、ちょっと考え過ぎであってほしいものだけど)、どこか運まかせを伴う連帯が戦いを挑むというのは、じつに頼りない構図。この頼りなさがゆえに、あの命が次々と灰に帰するラストシーンがどうしても不可避になる。そんな不可避が道理であることによって、じつはこの娯楽映画、観客席にまどろむ僕たちを、こんな風に揺り起こしにかかるわけだ。「ねえ、そこのあなた、あなたはこれでいいわけなの?」と。

監督したのはアンソニー&ジョーのルッソ兄弟。『ウインターソルジャー』『アントマン』『シヴィル・ウォー』もこの兄弟が撮ったという。ぼくはどれも見てないので、ちょっと楽しみになってきた。
YasujiOshiba

YasujiOshiba