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シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのEVOのレビュー・感想・評価

4.0
娯楽と問題提起を兼ね備えた傑作ですね。

"正義とは何か"というどのヒーロー作品にも通ずる問題に、
この大作シリーズが正面からぶつかるというのは、それだけで好印象。

一方で事前にヒーロー同士の内戦と聞いて、正直不安があった。
よくある「対立させたいがため」でこちらには納得がいかない理由による分裂は嫌い。

しかし本作でのキャプテンとアイアンマンの対立は
二人それぞれのバックボーンからなる選択の相違であり
その至極納得のいく対立に、脚本の巧さを感じた。

今回、さすがに本作から初見というのは少々難しいのではないかと思った。
対立する原因ともなった根幹は、シリーズを通して常に纏っていたものであったし
各人の前提部分を知らないと楽しみは大いに減少するだろう。

もちろん追ってきた身としてはだからこそ良い。
ここまで観てきて良かったと味わえたらやはり最高だ。

またシリーズが進む中で、ヒーローが追加されるのは、
今までのヒーローとどう絡むのか、どのような関係になるのかという点で楽しみな要素。

その点でスパイダーマンというキャラは正に求めていた立場。
憧れていたヒーローたちと肩を並べる事に喜び、
浮き足立ちながらも如何なくその才能を披露する。
ファルコンに「あまりしゃべらないほうがいい」なんて冷静に言われて反省したりと、
軽快な口調でシリアスな戦いを掻き乱すように緩急を付け良い役割をしていた。
そもそもサービスだけのちょい役だと思ってたからガッツリ戦闘に絡んだことに驚きだった 。

彼を含め新ヒーローが三人増え、戦闘のアプローチがそれだけ増すわけだが、
同時に全員をちゃんと活躍させるのは難しくなる。
しかしよくも毎度のこと新しい見せ方、飽きさせない展開を繰り広げてくれるのは本当に素晴らしい。
アクションに至っては文句の付け所がない。

さてでは話はどうかというと、
既に前述しているので交差するようで申し訳ないが、
アベンジャーズ同様の大集結にも関わらず深みを増したシリアスさで良かった。
最後の引き金となった”真相”が明かされた時は完全にサスペンス映画。
今回のヴィランは今までのパワーで制圧を図ろうとしていた敵たちと違い、内部からの崩壊を狙った策略家。
私怨により犯行に及んだ彼は、アベンジャーズが作り出した敵と言えるだろう。

アベンジャーズの活躍の影の部分にスポットライトが当てられたわけだが、
この部分は以前として解決してはいないのではないか。
復讐に囚われていたブラックパンサーの最後の答えは、一番の正しさに映った。


またキャプテンとアイアンマンの対立の件も、最後は形上で収束したようだが
まだ消化不良だ。
それだけに次作からの展開気になる。

「正義とは何か」という問題提起を
罪のない犠牲者たちを出してそれは正義なのか
キャプテンとアイアンマン両者に存在する正義の価値観の違いによる対立
という大きく二つの要素で展開した本作は最高傑作と呼ばれるにふさわしい
いつも通り楽しめて、いつも以上に考えさせられるものだった。
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