イペー

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのイペーのレビュー・感想・評価

3.8
世界を重大な危険に晒しかねない、アベンジャーズの過ぎたる力。
情緒面に不安を抱えた方々で構成されてますからね。
国際社会の問題視も当然でしょう。

「管理されるのはイヤ!」

…つって、盾の人と鉄の人を中心に対立が生まれるお話。

旧来のイデオロギーが効力を失った現代の世界。
"敵"の所在を明らかにするのは容易ではありません。

もはや単純明快な"善悪の対決"という図式は成り立たないワケで。
過去作で生じ始めていたチーム内での亀裂が、ヒーロー達をいよいよ抜き差しならぬ事態に直面させるのであります。

MCUシリーズを通して俯瞰すると、アベンジャーズのメンバーはどんどん増え、チームの魅力が増すほどに、反対側に立つ悪役の存在感が希薄になってしまうという課題もある。

その弱点を逆手に取って…という事なのか、ヒーローがヒーローたる理由を問うような、工夫を凝らしたシナリオに感心。

キャップとスタークがシリアスな面持ちでドラマを担いつつ。
クモ男とアリ男の緊張感の無さや、赤い人工知能のカジュアルな服装が、張り詰めた空気を和らげたり。

他のヒーローが他作品で前後の文脈をキッチリと語られている分、黒豹男の急な活躍には、激しく違和感を感じてしまいました。…カッコ良かったけどね。

映画の内と外、ファンの期待を集める人気作品として、色々と重責を負った難事業。
良くも悪くもミッチミチに詰まった見所をアホ面で楽しみつつ。

「これ以上、登場キャラクターが増えたら、もう頭が追いつかないかも…」

微かな不安を胸に抱え、未だ慣れない3D鑑賞の疲労を全身に感じながら、ヘナヘナと劇場を後にしたのでございます…。

…昨今のヒーロー映画の核心に切り込む鋭い考察を思いつきましたが、自分の特殊能力、"寝て忘れる" が発動し、全て忘却の彼方です。残念だなぁ…。
イペー

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