教授

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカの教授のレビュー・感想・評価

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「アイアンマン3」でも思ったけれど、単体シリーズ最終作にしては描き切れていない感。
というか、前作「ウインター・ソルジャー」で解決できていなかったバッキー問題があり、「エイジ・オブ・ウルトロン」におけるソコヴィア協定問題とか。トニー・スタークの両親問題とか。
風呂敷広げて畳めてないじゃないか!という物語上の大味感。それとツメの甘さは目立つ。
ジョス・ウェドンはアクション自体にはそこまで上がる要素がなく、しかしセリフや会話のニュアンスややりとりの妙で所謂「打ち上げ」シーンによって絶妙なヒーローの関係性を楽しませてくれ、どことなくコメディタッチだったが、ルッソ兄弟の場合、とにかく硬質で壮大なアクションシーンでこそヒーローの関係性を見せるという特徴があるように思う。
作品のテイストもキャップの物語というのもあるが、とてもシリアス。
という意味で一長一短。

あと、「正義」という価値観の衝突、という「シビル・ウォー」とついたこのテーマ性にしてもあまり掘り下げられないので、このまま「インフィニティ・ウォー」に行くの?
とか、アントマンとかホークアイとか、スパイダーマンは単なる巻き添えじゃんとか、シリアスの中に弛緩した描写が入るので鈍重な印象を受ける。

描こうとしてることは深いし、要所要所で「おっ」となるんだけど省略が酷い気がする。どうしてもこのまま「インフィニティ・ウォー」に進むのは唐突だなぁと思う。
ただ復讐の連鎖には乗らない、と決めた若造、ブラックパンサーの方が大人じゃないか!キャップもスタークもちゃんと話し合え!と思いつつこの不器用さもアリと言えばアリだとは思うのでどうなんだろう。

追記:
キャプテン・アメリカのシリアスな物語は、アイアンマン、トニー・スタークの持つネガティブな部分がより色濃く炙り出されるので、この2人の関係性は対立しているようで、実は同じものを持っている鏡像関係として機能している。

相棒のウォーマシーンと、ファルコンとか。

そういう意味で掘り下げれば掘り下げるだけ面白くなるのとより混乱するとのバランスが難しいのだろうなとは思う。
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