千年女優

ブラックパンサーの千年女優のレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.5
『シビル・ウォー』での爆破テロにより死亡した父の跡を継ぎ、アフリカの知られざる超文明国家ワカンダの国王となったティ・チャラことブラックパンサー。かつて超技術の世界への提供の是非で父と意見が対立した叔父の息子でアメリカ育ちのキルモンガーの復讐に立ち向かいながら、先祖が残した命題に向き合う様を描いたMCU作品です。

『クリード』で名を轟かせた若手黒人監督ライアン・クーグラーが元祖黒人アメコミヒーローを描く作品で、定型化で安定の品質の一方で限界を迎えつつあったヒーロー誕生物語のグレードアップに、原作再現に留まらない今日的な問題へとアクセスする深みをもって成功しアメコミ映画として初のアカデミー作品賞ノミネートを果たしました。

ブラックパンサーとキルモンガーというヒーローとヴィランの関係を「アフリカ育ちとアメリカ育ちの黒人」の対比へなぞらえる構図に先人が延引しいよいよ臨界点を迎えた問題へと立ち向かう展開をエンタメとして成立させる出来は圧巻。作中では偉大なる国王が、スクリーン外では新時代の英雄伝の在り方が、威風堂々と誕生する一作です。
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