アキラナウェイ

ブラックパンサーのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
3.6
海外の反応を見るとMCU最高傑作来るか!?と期待しつつも、マイティ・ソー バトル・ロイヤル(何回言ってもダサい邦題)が個人的に暫定1位。

ほら、あのキャプテン・アメリカの盾は何製だっけ?
うーーん、何だっけ?出そうで出ない!
って言ってたアナタ!
この映画を観れば確実に覚えられます。

ヴィブラニウム〜!テッテレー!

というぐらい、ヴィブラニウムの話。
ヴィブラニウムの隕石が落ちて以来、世界から隔絶し独自の超文明を築き上げてきたワカンダ王国。シビル・ウォーにおいて命を落とした前王ティ・チャカに代わり王子ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)が王位を継承する。しかし武器商人ユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)はワカンダからヴィブラニウムを盗み出す計画を立てていた。

素晴らしきはアフリカ系でキャストを揃えた事。特に脇を固める女優陣がルピタ・ニョンゴ、ダナイ・グリラ、レティーシャ・ライトと最高で、アクションも映える!真のヴィランを演じるマイケル・B・ジョーダンはカッコいいし、安定のフォレスト・ウィテカー、ダニエル・カルーヤ等、何せここまで黒人でキャストを固めたヒーロー映画は今までなかっただろう。

ブラック・パンサー自体が、コミック史上初の黒人ヒーロー。だからこそこれまでの差別主義、白人至上主義へのアンチテーゼとして、海外での評価が高まるのだ。

面白いのは絶対面白い!

しかーし!
MARVELファンだからこそ言わせてもらっていいですか?
ちょっとネタバレ含む辛口コメントぶっ込みます!
これから観る人はご注意を!










いやいや、いくらなんでも「超」文明過ぎます。
ワカンダの街並みはもはやガーディアンズ・オブ・ギャラクシー並みの別の惑星。異文化過ぎます。あまりにも現実味がないし、あの超文明を持ってして、先の二つの世界大戦をただ傍観し続け、アフリカの貧困の問題も難民の問題も影に隠れてやり過ごしてきた事には、憤りと不自然さを感じる。超ハイテクガジェットで胸は高まっても、じゃあこの国は何をしたのかと言うと自国の豊かさしか求めていなかったと言わざるを得ないし、そこに共感は出来ない。

でもだからこそ、過去を否定し外の世界と橋を築こうとするティ・チャラの最後の演説が光るのだけれど。

そして、結局お家騒動で終始してしまっている件。
ヒーロー映画の真骨頂とは、影に隠れていた超人的スーパー・ヒーローが無力な人々を救う為、その姿を世間様にお披露目する事であるべき。アイアンマンもキャップもソーもスパイダーマンもみーんなソー。

王位を争い、ブラック・パンサーのスーツ姿を屁とも思わない自国民の中でその姿を晒しても、観てる側は楽しくないんです。だってキャラクターの誰も驚いていないもの。唯一のお披露目である釜山でのアクションもちょっと物足りない。物語の展開が外に向かわず、内に向かっているのは残念。

数少ない白人キャスト、マーティン・フリーマン演じるCIA捜査官ロスに対して、「お前は喋るな」と一喝するシーン。その場はジョークとして済まされていたけど、結局この国は肌の色でしか人を見ていないんだと個人的には笑えない。何かと「アメリカは〜」「アメリカは〜」の発言も耳障り。脱差別主義映画であって欲しかったけど、そうも簡単にはいかないんだと思わされた。

厳しい事を並べ立てましたけど、それもMARVELへの愛ゆえの事ですのでご容赦を。

キャスト、音楽、そして最後のティ・チャラの演説は素晴らしかった!

愚者は壁を作り、賢者は橋を作る。

次回インフィニティ・ウォーで、陛下、貴方が陽の光を浴びて先陣切って世界を救ってくれる事を切に願っています。