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ブラックパンサーのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
3.9
「クリード」のライアン・クーグラーが監督、ケンドリック・ラマーが劇中音楽とインスパイアアルバムを、「ムーンライト」やビヨンセ「Lemonade」を手掛けたハナ・ビークラーがビジュアル・プロダクションを担当。ブラックカルチャーの最先端が結集した「ブラックパンサー」は彼らの「1992」に落とし前をつけにいく「プライド・オブ・ブラック」な作品でした。

1992年の西海岸で何が起こったか。当時のニュースで知っていたり、ロス暴動のドキュメンタリーを観たり読んだ人なら分かるでしょう。日本人が「1945 広島」で内容を察してしまうくらいに。
MCU作品としては「スパイダーマン ホームカミング」よりちょい下かな?って印象だけど、一連の知識を踏まえると、製作陣の本気が凄い。
黒人の誇りを見せた、めちゃめちゃスタイリッシュなヒーロー映画だった。

父王の突然の死により即位した王子が王となるまでの話ですが、シビルウォーであれだけ徳の高かったティ・チャラ陛下、めっちゃウブい! 実はまつ毛長くてかわいらしい顔してますね。
素直で純粋に育ったティ・チャラが世界の清濁を身をもって知って王となり、あの結論を下すことの大きさ。(この結論は別途触れます)
脇を固める女性陣皆かっこいいし、悲しい運命を背負ったヴィランのキルモンガーはセクシーだし、白人の主要キャラが「ホビット」コンビだし…ロス捜査官、どっかでストレンジ先生と遭遇してほしい。

ただ、アクションの描写があまり映えてなかったところや、随所にマイティ・ソーやバーフバリで観たようなシーンがあり既視感を拭えなかったのは残念。
というか、バーフバリ観た後だと「バーフバリのが強くない?」と思ってしまうのが…陛下は悪くないんです! マシュボンやルッソブラザーズみたいなシャブを服用してたり、バーフバリで脳を焼かれてるのが悪いんです!

映画全体では3.8、最後に出てきた推しが美しすぎたので0.1加点しました。ワカンダのスタイリスト最高かよ…。あと、ムーンライトのあの子と再会できて嬉しかった。

【追記】
恥ずかしながらブラックパンサーの評論で初めて知ったアフロフューチャリズム。
「もし白人に我々の財産を搾取されていなければ」という仮定を含めて成り立っているらしい概念。
他国からの搾取を避けるためヴィブラニウムの存在を隠してきたワカンダは、アフリカ人や各地の黒人たちにとっての理想郷なのかもしれません。

全米の熱狂ぶりから、早くも来年のオスカー獲得の予想も出てるようですが(?)、パッと見現政権批判に見えて、これまでの歴史の落とし前をつけにきてる内容だから難しいかな? 個人的には獲得してもらいたいです。
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