河豚川ポンズ

ブラックパンサーの河豚川ポンズのネタバレレビュー・内容・結末

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

インフィニティウォーのための精神的準備回な映画。
面白かったけど、さすがにロッテントマトの支持率100%はちょっと持ち上げすぎやなとは個人的に思った。

古来からその存在を隠してきたアフリカの小国ワカンダ。
5つの部族によって治められるその国は、古代に落ちた隕石からヴィヴラニウムを取り出し、それによって現代まで果てしない技術力を持ち続けてきた。
ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)はワカンダの次代国王として、そして国の守護者たるブラックパンサーとして亡くなった父を継ぐ予定だった。
しかしヴィヴラニウムを狙う悪党のユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)、そして彼の協力者であるエリック・スティーブンス、通称“キルモンガー”(マイケル・B・ジョーダン)との対峙により、ワカンダ全体をも巻き込む大きな事件が起こるのだった。

この映画の伝えたい、というか見せたいものは黒人やその他のマイノリティと呼ばれる人々に対して、どのようなことが出来るのか、もちろんワカンダ全てを懸けることも出来ないが、何もしないのか、するとしたらブラックパンサーというヒーローとして?ワカンダの国王として?といった様々な問いを投げ掛けることなんだと思う。
その中でこの映画はアフリカ系アメリカ人を中心に据えたんだけども、やはりこれはどこまで深い部分で“理解”することは出来ても、日本人には“共感”することが出来ない部分だと思う。
あっちの人がこの映画を見れば(ブラックパンサーみたいな超人は置いておくとしても)、十分にあり得る理想の未来の1つを映像化したものかもしれない。
でも自分みたいな単一の人種の中で生きてきた日本人からすれば結局スクリーンの向こう側の世界としか感じられない。
この違いがこの映画が今までのものを塗り替えるような大傑作と捉えるか、それともマイノリティの人々に送る傑作と捉えるか、評価の差を産み出してると思う。

ただこの映画の最後に、これから来るべきどんな困難に対してもワカンダは国として持っている技術を提供すると声明を出したことは、もちろんこの映画の中で導き出された答えの1つ。
そして同時にインフィニティウォーで1つになって戦う理由の最初のきっかけになり得るところが、うまくやってくるなと感心した。
まあインフィニティウォーが観るまでは分からないので早とちりかもしれませんが 笑

色々と複雑な事情や想いを抱えた、マイケル・B・ジョーダンは、今までのMCUにはいなかったタイプの悪役でとても魅力的だった。
個人的には悪役は底抜けの悪人がなるべきで、こういう背景があったから仕方なかったんだよ~ってのは最高に白けるので大嫌いなパターンですが、これはそういうのがあまりありませんでした。
たぶんエリック自身が悪人であることも分かってるし、やっていることも悪いと分かってるけども、その先にはきっと平和や幸せがあるはずだと半ばやけくそに盲信してる。
一方でティ・チャラもエリックをそんな状況に追いやった父を悔やんでいるし、果たして自分が正しいのかも分からなくなってきた、それでもエリックを止めなきゃならないと葛藤してる。
2人が葛藤してるからこそ、それでも闘わなきゃいけないからこそ、そして相討ちのような終わり方をしエリックが死を選んだからこそ、後味が悪くならなくて良い感じで終わらせられてるんだと思う。

ただここまでバックボーンや演技面の評価でカンスト叩き出すほどなのに、肝心のアクションシーンが見にくい!
暗い夜の街で、黒い服着て闘われたら何やってるか分からないよ!
それに後からCGでスーツの紫の光とか独特の光沢とか足してるんだろうけど、たぶんそれで激しく動くと余計に分かりにくい。
シビルウォーの時はあんなに真っ昼間に闘ってカッコよかったのに、今回は目に焼き付くようなカッコいいアクションシーンが無くて残念…
陛下の空中三段蹴りがまた見たかったのに…