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ブラックパンサーのyksijokiのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.1
国王としての彼(ティ・チャラ)に特別な能力はない。彼の持つ二つの資質は「愛」と「慈悲」という心のスキル。

目には目をというのは黒人文化の中でも当たり前にある思想だと思うがそこをただの復讐で終わらせない、もっと大きな問題に着目していくところにテーマの奥行きを感じた。

比較的平坦なシーンによる前提条件の説明が序盤続く。ここが平坦なことが後半以降の展開に好影響を与えている。天丼的にいろんなシーンが効いてくるというか2回目に出てきたときに全く違った意味を持つ。

終盤に訪れるティチャラとキルモンガーの互いの主義主張のぶつけ合いは掛け合い自体にリズムがあって曲、フリースタイルラップを聞いているような感覚になった。

ユーモアのバランスも凄くよかった。特にティ・チャラとシュリの掛け合いが自然で良かったと思う。アクションシーンの見せ場づくり、3箇所同時進行でのテーマの異なる決闘もゴチャゴチャせずに観られた。

女性の活躍ぶりや現代的なガジェットの数々も素晴らしかった。アメコミ映画にとどまらないジャンルレスさというか一種のヒップホップ的な融合感覚というのが良さかもしれない。その反面でストーリーや動機づけの起承転結はキチッとしているから楽しかった。

今後この国王が他のヒーローたちとどう共存していくのかが凄く楽しみになる作品だった。その点他のマーベルヒーローをガッツリ出さなかったことも英断だったと思う。アイアンマンとは全く違うタイプのニューヒーローが出てきた感じがするし活躍が楽しみ。
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