木村優希

ブラックパンサーの木村優希のレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.0
これはもう一度観なければ、と思いました。とりあえず初見での感想。
観れば観るほど、というよりかは、思い返せば思い返すほどいろいろ考えさせられるスルメ映画でした。

いろんなところで絶賛されているのですが、今回ヴィランがすごく良かった。
私、MCUは悪役がいてこその作品だと思っているところもあり、良い映画は主人公も良いんですが、同じくらい悪役が魅力的なんですね。
で、今回の悪役(キルモンガー=マイケル・B・ジョーダン)、これが良かった。ただ私、唯一のもやっとが、彼が完全に悪役なのかが分からなくなってしまった点にありまして。その点を自分の中で落とし込む為にももう一度観なければなあ、と思っている次第です。

『シビル・ウォー』で初登場のブラックパンサーが、国王になるまで。が描かれた本作品。
私は、ブラックパンサーの物語というのもありますが、キルモンガーの物語でもあるのかな、と。

脇役も魅力的で、オコエ、妹シュリやスパイ:ナキアの「女性の活躍」というのも新しいなあ、と思いました。
(『シビル・ウォー』で一瞬出てきた付き人はオコエじゃなかったんですね…)

今回、キルモンガーの復讐心が大きな軸になるけれども、ここで『シビル・ウォー』でのティ・チャラがジモに対して見せた「赦す」という行為が、今回の『ブラックパンサー』での彼の行動の根底にあるようで、私はあのジモとのやりとりがなかったら、彼は今回とは違った形になっていたんじゃないか、と思うわけです。
ティ・チャラが過去を過去、これからはこれから、としっかり区別をつけた上で、国王として、国や世界を相手にいろいろなものと戦うことになると思われるんですが、そんな彼を作り上げたのは、やっぱり父親の存在であり、父親を殺したジモであり、キルモンガーであったのだな、と。そういう点で『シビル・ウォー』を観て『ブラックパンサー』を観ると面白いと思いました。

あとは政治色が強い。
どこかのレビューで「黒人社会の歴史を一気にひとまとめにしてそれをエンターテイメント作品として昇華させた作品」というのを見かけたけれど、特にティ・チャラとキルモンガーの二人の対立シーンではそれを感じさせるセリフも多く、今まで遠い場所の話と思っていたことが、映画を観て一気に身近に感じるという、不思議な体験をしました。

とりあえずもう一度観よう…。
できれば吹き替えも観たいところです。
木村優希

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