TaiRa

ブラックパンサーのTaiRaのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
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アクション映画としては普通、MCUに限らずアメコミ映画としては志が高く、ライアン・クーグラー映画としては最高。

「文化的事件」と言われるぐらいアメリカ文化にとってはエポックな作品だし、今のアメリカで作られるべくして作られた作品だった。監督3作目で初の超大作ながら、しっかりライアン・クーグラーの映画にもなってる。ティチャラとエリックはアドニス・クリードの人物像を二つに分けたみたい。「キングを継ぐ男」と「過ちとされた男」の対決。クーグラーの地元であり監督一作目『フルートベール駅で』とも繋がるオークランドで始まるのも重要。閉鎖されたユートピアの王ティチャラが外界の現実を象徴するエリックと対決し、一度死に、そして王として帰還する。エリックこそが貴種流離譚の型に沿った人物なので、彼と対等に戦う為に必要なプロセスをティチャラにも与えてる。『バンビ』や『ライオン・キング』の影響もある伝統的なファミリー映画であり、製作体制における人種や性別への平等さは現代的。007シリーズを踏襲した釜山パートのガジェット描写も楽しい。クライマックスのブラックパンサー対キルモンガー戦が『ファントム・メナス』から影響受けててクーグラー(31歳)の若さを感じさせる。

「ワカンダ・フォーエバー!」は英語じゃなくて現地語の方が良かった気がする。
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