Jun55

ブラックパンサーのJun55のレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.4
アメリカで社会現象になっている映画で、この映画を観ないと世の中についていけない、という切迫感を抱くほど。
このような切迫感をいままで持ったことがない。
興行成績も飛び抜けているけれども、どうも一度観た人が、自ら金を払ってでも知人に観るように勧めているケースが多々あるらしい。

ワンダーウーマン同様、社会現象を起こしている理由は、黒人監督、殆どのキャストが黒人という、従来、ハリウッド受けしてこなかったカテゴリーの映画という概念を見事に壊したことだ。
マイノリティが作り上げた映画、そしてマイノリティに自信と勇気を与えている映画。
(ブラックパンサーでは、女性の活躍も描かれていて、ワンダーウーマン的な側面も取り入れている)
個人的にはアクション・ヒーロータイプの映画は趣味ではないのだが、観たいと思った理由として、(ワンダーウーマンもそうだが)この映画が持つ社会的メッセージに注目していたから。
今回のアカデミーもそうだけれども、トランプ政権時代の反動、それを多くの国民がアンチテーゼとして欲しているものが何なのか?

幾つかある社会的メッセージの中でも一番印象に残ったところは、秀でるものを広く共有していこう、というメッセージ。
ナショナリズム的な動きへのアンチテーゼでもあるし、長く差別を受けてきたアフリカ系アメリカ人側からみたメッセージでもある。
平等な教育、教育機会を受けるということが最もベーシック、且つ大切なことである、というメッセージ。
そして、他のメッセージも含めて一言で表現するとすれば「inclusion」なのだろう。

アクションがとても迫力があり、素晴らしいのは勿論だが、アフリカをテーマにしていることから、アフリカ系衣装のプレゼンテーションがとても素晴らしい。SF的な色彩と、アフリカ系原色のコントラスも斬新。
今回この映画の衣装を手がけた黒人衣装デザイナーRuth E. Carterは、既に次回のアカデミー衣装賞受賞確実と言われている!
このあたりも、黒人のスタッフで固めた効果なのだろう。
Jun55

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