海老

ブラックパンサーの海老のレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
3.8
アフリカの部族と、ひた隠しにされていたオーバーテクノロジーの融合というテーマで、僕の知識は予告から得たものだけでしたが、魅力に感じていました。

ヒーローものの王道を踏襲しつつも、人種差別のデリケートなテーマにも、説教くさくなく切り込んでいるのが印象深い。

敵側を単なる悪役でなく、相手の正義にしっかりフォーカスしているのも、とても面白いです。その相手を、悪だと断定してしまわない主人公ティチャラも魅力的でした。お前は優しすぎると父親である国王に忠告されるシーンがありましたが、後々に色々と広がりを見せつつ、しっかり彼自身が飲み込み、王としての器を広げていく。敵の正義も尊重していく姿や、伝統や国益よりも人との繋がりを大切にする志は、現代の英雄像そのものでした。自分たちの都合や、伝統に囚われて自分の思いを封殺してしまう周囲との対比、ティチャラ達の覚悟に次第に心を動かされていく描写も面白い。
とかく、キャラクターがすごく魅力的でした。ティチャラもそうですが、跳ねっ返り科学者のシュリ、信念のためにティチャラと別の道を進むナキア、なんだかんだ陛下大好きなオコエ、各々の思いや正義感・忠誠心が次第に一つの方向に収束していくのも見応えがありました。

また、部隊がアフリカ部族ということもあり、現地の民族音楽と、ブラックミュージックという極端に趣の異なる音楽が相互に流れていくのも、この映画ならではの演出ですね。一時期の流行りで僕はケルト音楽が結構好きなんですが、こういうバリバリな民族音楽もいけるな、と新たな発見もありました。笑

テクノロジーを駆使した数々の見せ場は、男心をくすぐるものばかり。戦闘シーンは勿論ですが、ラボでの道具紹介シーンとか、こういうの色々見てますけど、やっぱワクワクします。

ラスト、譲れない正義を貫きつつも、敵の正義にも敬意を示し、成長していく王の姿には、今後が楽しみになりました。アベンジャーズだけでなく、次期作があってもおかしくないですね。

ヒーローものの王道とも言えますが、単純な勧善懲悪より深みのあるストーリーでとても楽しめました。
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