最近のマーベルがアゲさせるやつばかりだったから、ブラックパンサーもブラックミュージックでゴリンゴリンに揺さぶってくるアゲアゲ映画かと思いきや、トラディショナルでプリミティヴで堅実な、骨太王位継承ドラマだった!マーベルに期待される派手なアクションとガジェットはもちろん素晴らしいクオリティで実現してるけど、骨太なドラマ性に泣かされてしまう。美術も世界観も衣裳も武器もほんと美しくてかっこよくて、部族ごとのカラーの違いも楽しくて、とっっても素敵。
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ネタバレ
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ゴリラ氏との決闘とか、韓国のカーチェイスとか、かっこいいシーンはたくさんあったけど、それでも個人的に盛り上がり切らなかった前半。クロウ、かっこいいんだけど、こいつが敵なのかなーなんかしっくりこないなーって思ってた。
キルモンガーがクロウを始末して、際の部族長に持って行ったあたりで僕はようやく物語の全貌がわかって、「名前を聞け!!」は震えた。
ワカンダの未来についての思想の違い、なんとなく蓋をされてきた歴史、それぞれの立ち位置、それぞれのプライド…。
最後の戦は、物語善と物語敵が戦うごちゃごちゃ乱戦じゃなくて、正義同士がぶつかり合う戦いだった。
物語が終わったときのティ・チャラはどう見ても国王で、うん、国王にしか見えなかった。
(なんとなく、反射的に「スターウォーズで僕が観たいのってこういうことなんだよなー」って思った)
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ブラックパンサーvsブラックパンサーなラストは、すごく意味深い。種族の長を決める、アフリカンで野生的な決着。このブラックパンサーの敵はブラックパンサー以外ありえないなあと思う。
(話は逸れるが、ワカンダの国王の決め方、決闘ってことになんだか違和感を覚えてた。筋肉バカが王様になってしまう!この辺は旧時代的な印象。『バーフバリ』もそうだったなあ。部族をまとめあげること自体に武力以外の素質を求めてるという仕組み、なのかな。とか脳内補足したり。)
ゴリラのキャラもすごくいいし、なんだかんだクロウも面白いキャラの悪役だったし、護衛チームの長もとってもかっこよかったなー!ザン!!みたいなやつ!ザン!!
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…と、理性ではすごく良さを理解できるのに、「本能的にブチ上げられる」をやっぱり期待しちゃってた。あんなにかっこよかったのになー。今まで上げられすぎて、舌がバカになってる!