まっつん

ブラックパンサーのまっつんのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.0
ワカンダフォーエバー!!!!!MCU最新作にして「クリード チャンプを継ぐ男」のライアンクーグラー新作!マーベルは若手監督や知る人ぞ知る監督のフックアップが非常に上手いんですけどもここでライアンクーグラーとは....よく分かっている!!!

まずこの映画構成が非常に素晴らしいと思います。冒頭は1992年オークランドから始まります。1992年といえばロス暴動の年であり、オークランドといえば66年にブラックパンサー党(キャラクター自体とは関係ありませんが共に60年代の公民権運動を契機として同じ空気を吸っていたとは言える)が結成された地です。この冒頭でロス暴動の影をさり気なく感じさせつつ、舞台は一気に2018年へ!!場所はワカンダ!!その世界観はアフロフューチャリズムと呼ばれるアフリカの伝統文化に根ざした未来構造主義であり、要は冒頭の「黒人にとっての契機となった場所、時期」から一気に「黒人にとっての未来」を見せるというこのダイナミズム。そして最終的にまたオークランドに戻ってくるという構成の妙。どのように戻って来るかは....是非見てください。

そしてマーベルの映画史上でも最も広く社会性を獲得した作品であるとも言えます。まずはキャスティング。普通のハリウッド映画で見る白人と黒人の割合が丸っきり逆転していることは誰の目にも明らかですし、スタッフも黒人が多いわけです。これにより、「大ヒットには白人キャストが必要だ」という前提が今までにないスケールで打ち破られたわけです。これは黒人だけでなく我々アジア人も含む非白人もこれからはハリウッドで戦っていけるんだ!という希望になったと言う点で歴史的偉業です。そして政治的な面においてもとても踏み込んだメッセージを発していると思います。

そのメッセージにおいて本作に大きな深みを与えているのがマイケルBジョーダン演じる今回のヴィラン、キルモンガーです。ティチャラとキルモンガーの両方に感情移入せざるを得ない人間ドラマ演出のうまさは本作の価値を格段に上げたと思います。

さらには「アフリカは人類発祥の地であり、ほかの大陸に住む人々だって遠い同胞である。だから手を差し伸べようじゃないか」という踏み込んだ議論展開もおそらく本作でないと出来ないものであったと思います。そしてワカンダがずっと守り抜いて来たテクノロジーを進歩的な未来のためにも、広く世界に向けて解放するとき我々は人類にとっての良心を見る事が出来る。「愚者は壁を作る、賢者は手を差し伸べる」。

そして本作がついにやって来る「アベンジャーズ インフィニティウォー」に向けての最適なツイストになっているので余計に楽しみになってきました!!「インフィニティウォー」までは絶対に死ねないぞ!!!