みはしゅん

アベンジャーズ/エンドゲームのみはしゅんのレビュー・感想・評価

5.0
ーこれは、大学生活最後の夏休みに大好きな仲間たちでアッセンブルし、3000回思い出せるような思い出を作ろうとした一人のマーベル大好き男の記録であるー


大学4年の夏。来年から東京への就職も決まり、今年の8月からの2ヶ月間が学生最後の夏休みである。サークルの友人たちと共に音楽を奏でたり、旅行をしたりして充実した夏休みを過ごしていた。だが何かが足りない。そこで私は考えた。

「何かブッ飛んだ企画がしたい!」

そうして思いついたのが、『MCU大鑑賞Fes』である。

9月2日〜6日の5日間、朝から晩までMCU22作品を私の自宅にて放映し続け、友人たちと共にこの伝説のシリーズの感動を再び共有し、魅力を伝えようという企画である。

タイムテーブルは以下の通りである。

9月2日(月) 1日目
①11:00〜13:05 アイアンマン
②13:15〜15:20 インクレディブル・ハルク
③15:30〜17:45 アイアンマン2
④21:00〜22:55 マイティソー

9月3日(火) 2日目
①11:00〜13:05 キャプテンアメリカ・ファーストアベンジャー
②13:15〜15:40 アベンジャーズ
③15:50〜18:00 アイアンマン3
④18:10〜20:05 マイティソー・ダークワールド
⑤20:15〜22:15 キャプテンアメリカ・ウィンターソルジャー

9月4日(水) 3日目
①11:00〜13:05 ガーディアンズオブギャラクシー
②13:15〜15:35 アベンジャーズ・エイジオブウルトロン
③15:45〜17:45 アントマン
④17:55〜20:25 シビルウォー・キャプテンアメリカ
⑤20:35〜22:30 ドクターストレンジ

9月5日(木) 4日目
①11:00〜13:15 ガーディアンズオブギャラクシー・リミックス
②13:25〜15:40 スパイダーマン・ホームカミング
③15:50〜18:00 マイティソー・バトルロイヤル
④18:10〜20:25 ブラックパンサー
⑤20:35〜23:05 アベンジャーズ・インフィニティウォー

9月6日(金) 5日目
①13:00〜15:00 アントマン&ワスプ
②15:10〜17:15 キャプテンマーベル
③17:15〜18:00 マーベル75周年の軌跡 -コミックからカルチャーへ!- ※おまけ
④19:00〜20:00 出前ピザを注文し腹ごしらえ アッセンブルに備える
⑤20:00〜23:00 アベンジャーズ・エンドゲーム

計22作品ピッタリ3000分。11年の歴史を5日間で振り返ろうという馬鹿げた企画である。

ルールは簡単。

●場所は私の自宅。入退場自由で観たい作品に合わせて来宅OK。事前連絡不要。
●上映はタイムテーブル通り。インターバルは10分。誰もいない回は私一人で単独鑑賞。
●全編吹替上映。
●その日の作品が全て終了したら飲み会開催。

上記のようなルールである。


正直、不安はあった。まず人が集まるかどうかだ。

MCUは壮大なスケールなシリーズであるがゆえ、各作品ごとに繋がりが大きい。なので後半になるにつれ初心者は「???」となりかねない。

またアメコミガラパゴスの日本では世界に比べてそこまで一般的な人気は高くない。例えばハリーポッターシリーズのように繰り返し金ローでやるほどではない。

→これに関しては仕方ない。同じサークル内のMARVEL好きが4人ほどいるので、そいつらと一緒に、まぁ最悪1人で楽しめればなぁという気持ちで始めることにした。


次に下の階の住民問題である。

私の家の鑑賞環境として、中古で安く買った40型テレビにウーファー付きの2.1チャンネルのスピーカーを繋いでいる。なので低音が凄い。下に衝撃吸収材を敷き詰めている。

だが下の階の住人は厄介だ。少しでも音量を上げすぎると、私のウーファーにも劣らない重低音で天ドンが来る。お前は自宅に如意棒でも持ち合わせているのか。

幸い直接苦情が来たことはないが、音を出し過ぎると毎回天ドンで「警告」が与えられる。そういう意味ではありがたい。少し神経質過ぎる気もするが、私も君と争いたくはない。だが出来るだけ最高な環境でこれらの名作を楽しみたい。

→そこでボリュームもギリギリを攻め、もし天ドンが来たら少し下げる、という形を取ることにした。ごめんな下の階の住人。


Twitterでの告知も実施し、準備を進める。アイアンマン1、ハルクはNetflix、アイアンマン2からA&Wまでの作品はDisney DXにて、キャプテンマーベル、エンドゲームはBlu-rayで鑑賞することにした。

部屋の掃除も完璧にやった。アッセンブルの準備は整った。さぁ祭りの始まりだ!


初日。始まりはアイアンマン。全てはここから始まった。トニーはまだ独りよがりで孤独。RDJも若い。

来ない。MCU22作品の中でも最重要と言っても過言ではない作品だが人は来ない。よく考えた。時計を見ると11:00。そう夏休み中の大学生に11:00はまだ睡眠時間である。無理もない。なぜなら私も眠い。

ハルクが始まる。すると後輩から連絡が!ついに初の参加者が来宅する。めちゃめちゃ嬉しい。

アイアンマン2の半ばで彼はインドに研究しに行くため離脱。だが同時に最も信頼できるMCUオタである同学年Sくんが来宅。そのままその日は2人で楽しく最後まで鑑賞した。なんなら延長戦としてスターウォーズ4を鑑賞。彼とはとことん趣味が合う。


2日目。この日のスタートはキャップ1。この日も初回は単独鑑賞。パッキー大好きSくんは寝坊。彼は次のアベンジャーズから合流した。

すると研究室終わりの先輩が来宅!ついにデュオからスリーピースに。3人での鑑賞は会話と鑑賞のバランスが良い。先輩が帰ったあとも同期1人が来宅。スリーピースのまま最後まで楽しんだ。その日も全作品上映終了後、スターウォーズ5をおかわりした。


3日目。もう初回上映は単独鑑賞が当たり前になった。Sくんはいつも通り寝坊。ウルトロンから合流。その後、先輩も合流しこの日もスリーピース状態。

だがこの日の最終上映作品、ドクターストレンジで事件は起きた。昨日来宅した同期が酒とともにたくさんの後輩たちを連れてきた!

今Fes最多の7人。バチクソに盛り上がった。だが初心者も多い。なのでレイチェル・マクアダムスがかわいいとか、幽体離脱だとか、ティルダ・ウィンストンがあの見た目で55歳だとかいう話題で盛り上がった。結局朝3時まで飲み明かす。


4日目。いつも通り初回は1人か、なんて考えていたらなんと昨日3時まで飲み明かした後輩が来宅。若い、若過ぎる。今年で22歳のおじさんはクタクタだよ。

いつも通りSくんも合流。だがさすがに皆に疲れの色が見える。ホムカミやブラパンのあたりではついウトウト。さすがにしんどい。

迎えたインフィニティウォー。合流した先輩含め4人で鑑賞。この人も初心者なので詳しく解説してあげながら楽しく鑑賞した。そのあと何故か君の名はを鑑賞した。この日も3時近くまで飲む。


さぁいよいよ最終日。初回のA&Wの上映はちょっと遅い13:00スタート。なので4人集まった。キャプテンマーベルまで鑑賞したあと、時間があいたのでマーベルのドキュメント番組を鑑賞した。

そのあと車でピザ屋に出向き、出前ピザを持ってくる。自宅に到着すると、そこにはもう部屋に入りきらないほどの友人たちが!その数12人。私の部屋の大きさは7畳。もうギュウギュウ。さてはピザに釣られて来たな。4枚買ったピザはあっという間になくなった。

見渡せば同期に後輩や先輩、色々な顔が見える。マーベルオタから全く鑑賞経験のないやつまで総勢12名のヒーローたちがアッセンブル。皆お酒を片手にいざ集大成エンドゲームを再生ON。

初心者の同期のため質問されたら優しく教えてあげた。一番多かった質問は「これ誰?」であった。そりゃそうだよな。

最初こそ静かな場面が多いので皆黙って鑑賞していたが、ハルクが登場したあたりから笑顔が増える。「アイアンマンの娘かわいい〜」という声も。分かる分かるよ君の気持ち。

エンディングこそ静かに見守ったが、初心者含めクスッと笑う場面が多かった。3時間という時間の流れはあっという間であった。


全ての上映が終わった。初心者の子含め、面白かった〜の声が聞こえる。

この時の私の心はこの上ない優しい感動に包まれていた。特にトニー、キャップ。今作までの21作品を鑑賞し、この2人の生涯を振り返ったときだ。


★ここからエンドゲームやMCU作品への詳しいネタバレを含みます★


トニーは最初ヒーローとは程遠い存在であった。自分勝手で愛を知らない。だからアイアンマンになった理由も、最初は自分が脱出するためである。スーツを完成させたのも人助けではなく、自らの兵器を悪用されているという理不尽さや、自分を危険にさらしたテロリストへの復讐心からであったと思える。

だが彼はまだ当時は秘書であったペッパーと深い仲となり、大切な人を持ち愛を知る。

アイアンマン2ではついに世界を守るヒーローとなる。だがまだ傲慢で責任感がない。それは軍に所属しているローディと実に対照的に描かれている。しかし己の才能を生かし、ヒーローとして成長していく。

アベンジャーズで世界の危機を救ったトニーはアイアンマン3で大きく挫折する。今まで以上にヒーローとしての責任が重くなった彼はスーツ依存という苦悩を経験する。

自信か慢心か、自宅を攻撃された上にハッピーは瀕死。多くを失った。このときに出会ったのが素朴な少年ハーレイである。ここで彼は初めて子供と触れ合う。この経験はのちに家族という存在への強い意識を持つきっかけになったに違いない。そして彼はスーツ依存を克服し、さらに深い愛を持ったヒーローとなったのだ。

最初、洞窟の中で自分自身のために作り出したアイアンマンという存在は、守るものが大きくなるにつれて存在意義も拡大していった。個人から会社、国から地球、最後は宇宙まで。それと同時にヒーローとしての責任感も大きくなり、彼の心は成長していく。

ずっと自分のために生きてきた男は愛を知り、大切なものを守るために自らを犠牲にすることを厭わない男へと成長した。その結果、彼は自らの命を捨ててまで大切な仲間、友人、そして愛する妻と娘を守った。

『I am Iron Man.』

最初に口にしたとき、この言葉には慢心さに包まれていた。だが最後にこの言葉を口にしたとき、この言葉は世界を救うヒーローとして、そして1人の夫・父親としての威厳や誇りに包まれていた。こうして彼は伝説となった。


次にスティーブについて見ていこう。彼は生まれつきヒーローの心を持った男であった。どんなに不利な状況であっても、倒されても彼は絶対に立ち上がった。だがその身体は貧相で、立場は弱者であった。

国のためにどうしても戦争に行きたい。自らを犠牲にしてでも誰かのために生きたい。この時点においてトニーとは全くの真逆であることに気付くだろう。

だが彼は血清を打たれたことで弱者から一転最強の戦士となることができた。そしてペギーという愛する人も手に入れる寸前まで来た。だが彼は母国を救うため自らの全てを犠牲にした。そして70年間氷の中で眠り続けた。

70年後に目覚めると、最愛の人は年老いた姿となっており自分とは異なる男性と人生を歩んでいた。アベンジャーズ1やウィンターソルジャーの中で、ヒーローとして任務を全うする彼からはこの喪失感はあまり感じられない。だが彼の中にはずっとこの後悔があったに違いない。

途中、姪のシャロンといい感じのところまでいくが、それでも彼はヒーローとしての役目を全うし続けた。

彼のヒーローとしての正義感は絶対に曲がらない。仲間と対立しても自分の意見は変えない。親友が敵だと分かっても彼はバッキーを殴れない。結果として法を犯してお尋ね者になっても、アベンジャーズを解散にまで追い込んでもバッキーを守り続けた。

こうして彼は常に自らを犠牲にしてまでも大切なものを守り続けてきた。そして何度倒されてもその度に立ち上がってきた。根っからのヒーローである。その固い正義感と不屈の精神が宇宙の危機を救ったのだ。

全ての闘いが終わった。彼はこれまでの自分の人生を振り返る。そのときに彼の心に長年引っかかっていたのは、叶えられなかった恋への後悔であったのだろう。スティーブは過去に戻りペギーとダンスをする。生涯をかけて大切な人たちのために生きてきた1人のヒーローは、最後に1人の男となった。いや、なることができたのだ。


トニーとスティーブ。自分のために生きる男と自分を犠牲にしてでも何かを守る男。対照的であった2人は最後に逆転したのだ。この結果を生んだのは真実の愛であったのではないかと私は考える。

トニーは妻、子供を持ち深い愛情を知った。そしてヒーローになった。だがスティーブは氷漬けになったがために真実の愛を知ることができなかった。だがヒーローであり続けた。

普通の男からヒーローに成長したトニー。ヒーローから普通の男になったスティーブ。真逆の人生を歩んだ2人を成長させたのは愛であった。スティーブは少しずつヒーローから普通の男へと"成長"していたのだ。必ずしも自分勝手になったわけではない。退化ではない。


こうして、2人は生涯を通してヒーローとなり伝説となった。


MCUの最大の特徴はヒーローの1人1人の成長が細かく描かれているところにあると思う。ソーやナターシャ、クリントなど心情の変化が手に取るように伝わってくる。ソーの壮絶な人生も、家族を得たナターシャ・家族を失ったクリントの葛藤も。


今回、22作品に及ぶ壮大な物語を一度に紐解くことができ、素晴らしい達成感を得ることができた。だが一つ疑問が生まれた。

『自分はこの作品のヒーローたちのように成長できているだろうか?』

そして周りを見渡した。そこには同じく鑑賞をし終えた多くの友人たちの顔があるではないか。自分を信頼し、わざわざ自宅に足を運んでくれた仲間たち。

あぁ自分で書いてて泣きそうになってきた。

正直まだまだ自分の欠点は多くあると思う。だが自分を信頼してくれる多くの友人たちの存在は、自分の存在意義を感じさせてくれる。大切な、大切な友人たちだ。

そんなわけでこの日も友人たちと朝方まで語り合い、盃を交わした。この上なく幸せな時間だった。それまでの4日間も含め、何気ない時間が自分にとってもっと貴重なものであることを知ることができたのだ。


……というわけで今回のMCU大鑑賞Fesは大成功を収めることができた。みんなにマーベルの魅力を知ってもらおうと思って始めたこの企画、だが私は今この瞬間の大切さを知った。

残る夏休みはあと半月。卒業までの時間はあと半年。時間は限られている。大切な仲間との時間をもっと大切に過ごしていこうと思う。


今回、映画のレビューとはまた違ったものになってしまいましたが、今回の私の経験を含め、拙い文章からこの作品とマーベルシリーズへの魅力を感じていただければ幸いです。ご覧いただきありがとうございました。