シュウ

アベンジャーズ/エンドゲームのシュウのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

11年間戦い抜いたスタッフとアベンジャーたちに3000回感謝の言葉を捧げたい映画。
もう何の文句もない出来だったし感謝の言葉しか出てこない…

前作「アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー」にて、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)たちアベンジャーズは、サノス(ジョシュ・ブローリン)との戦いに敗れ、全宇宙の生命体は半減してしまった。
23日後、地球からの救援信号を聞きつけたキャロル・ダンバース(ブリー・ラーソン)は、宇宙で漂流していたトニー(ロバート・ダウニー・Jr)とネビュラ(カレン・ギラン)を地球へと連れ帰り、アベンジャーズたちは再び一堂に会する。
彼らは宇宙のどこかへと去ったサノスへリベンジし、インフィニティ・ストーンの力をもって再び消えた人々を甦らせる計画を考える。
義娘であったネビュラの案内によりサノスのいる農園へとたどり着くが、そこにはもうインフィニティ・ストーンは無かった。
サノスは2度と同じことがあってはならない様に、インフィニティ・ストーン同士の力で消滅させたのだ。
やり場のない怒りに思わずサノスの首を刎ね飛ばすソー(クリス・ヘムズワース)。
完全に希望を断たれたアベンジャーズは、それぞれ散り散りになってしまう。
それから5年後、有志で地球上の問題に対処していたアベンジャーズだったが、それでも前に進むには失ったものは大きすぎ、皆が希望を持てないままに過ごしていた。
そんな時、キャプテン・アメリカとブラックウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)の下にある男が訪ねてくる。
彼はてっきりサノスの力によって消えてしまったと思われていたが、たまたま量子世界に閉じ込められていたのだった。
その男は”アントマン”ことスコット・ラング(ポール・ラッド)、そして何より彼が閉じ込められていた量子世界にこそ、この世界を救うカギがあると言うのだった。


今作含めてシリーズで計22作品、どう考えても一見さんお断りな雰囲気になってきたMCU。
基本的に自分は「~シリーズはどれから観たらいいの?」とか聞かれた時は、そんなのイヤイヤ順番通りに観たって、興味がなくちゃどうせ観ようともしないんだから気になったものから観ればいいと答えていた。
かくいう自分も初めて観たMCUの1本目は8年近く前の「アイアンマン2」だったし。
でも、この「アベンジャーズ / エンドゲーム」だけは全く違う。
シリーズを完走してきた人と、全くの初見や飛ばし飛ばしで観てきた人とでは、もはや別の映画を観てると言っても良いぐらい。
何ならシリーズ単位で周回すればするほど、深みというか受ける衝撃は大きくなりそう。
それほどまでにこの映画は、MCUの11年の歩みの総決算、集大成とも呼ぶにふさわしい作りになっていた。
セリフの1つ1つからカメラワークに至るまで、これまでの21作のオマージュが散りばめられていて、より深く見ていればいるほど、その時々の感動は半端じゃない。
もし「アイアンマン」や「アベンジャーズ」を作ってた頃から、こんなゴールを見据えていたんだとしたら、スタッフはもう毎回毎回映画作るたびにニヤケが止まらないだろうなあ。

予告の時点からとても気になっていたのがブラックウィドウとホークアイのストーリー。
序盤からいきなりトラウマ全開のホークアイの家族全滅シーンで、そら闇落ちというか、ローニンになってヴィジランテみたいなことするわ…と切なくなる。
でもさらにそれ以上の試練がソウルストーンの獲得。
宇宙船の中では昔のブダペストでの任務を懐かしんでたのに、まさか殺し合いならぬ殺され合いをすることになるとは。
観てる最中はどっちが死んでもおかしくない状況で、いったいどっちが…?と固唾をのんで見守っていたけど、最後はブラックウィドウが犠牲となってしまった。
家族というもう一つ別に帰るべき場所があったホークアイよりも、劇中でもアベンジャーズが家族だったと言われていたように、唯一無二の居場所をせめて守ってあげたいブラックウィドウの思いが勝った結果だったのか。
今までのシリーズには珍しくホークアイが活躍しまくってるのに、あまりにも辛すぎる展開ばかりで本当にかわいそうになってくる。

あまりに大所帯になりすぎてないかなとも思っていたアベンジャーズメンバーだったけど、今回3時間かけて描かれるのは主に「アベンジャーズ」でのオリジンメンバーとアントマンが中心。
その中でもBIG3であるソー、トニー、そしてキャップに強く焦点が当てられていた。
サノスに国民を虐殺され、さらには目の前で弟ロキを殺されてしまったソーも、ストーンが消滅しどうにもならなくなったと分かってしまうと、一転して自堕落な生活を送るダメ男になってしまった。
「アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー」の時の最高に勇ましかったあの姿はどこへやら、日がな一日ビールを飲み続け、フォートナイトのプレイヤー相手に暴言を浴びせる始末…
だが、その心の内では何もできなかった自分を悔いており、指パッチン候補者にも自ら泣きながら志願するほど、後悔の念に苛まれていた。
冷静に考えると両親が死んで、ロキも目の前で殺され、果てには国が丸ごと滅ぼされて、国民も半数ほど殺されてしまって、むしろよく正気を保ってヒーローをやってきたなとも思える。
そしてそんな彼を奮い立たせたのは、意外にも面倒見のいいロケットと、過去で出会う母のフリッガだった。
まあフリッガは元ネタの神話から予言の能力を持っていたから、ソーとの出会いも分かっていたんだろうけど、そんな彼に投げかける言葉はありのままのありたい自分であるということ。
最初はその傲慢さゆえに力を失ってしまったソーだったが、ムジョルニアに”ふさわしい者”として再度認められ、数々の戦いを経て正しい資質を身に着けた彼にとって、アスガルドの王としてあるべき姿という枷は必要なかった。
その言葉を受けてからのムジョルニアとストームブレイカーの2刀流!
確かにお腹は残念だけど、やっとここに来てソーらしさが戻ってきたと思って嬉しくなった。

だがムジョルニアに認められた人物はまだまだいた。
「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でのヴィジョン君もその一人だったけど、今度はついにキャップが持ち上げた!
自分はここら辺の「ロード・オブ・ザ・リング」ばりの総力戦シーンですでに涙腺が崩壊していたので、目の前で起こることに脳ミソが付いていけてなかった。
やっぱりヒーローが一番輝くのは、誰かがピンチで、真に助けを求めている人の下に駆けつける瞬間なんですよね…
そんな”キャプテン・アメリカ”ことスティーブ・ロジャースは、サノスに完全敗北した5年の間でもやっぱりみんなの精神的支柱だった。
アベンジャーズメンバーだけでなくグループセラピーもやったりしてて、さすがのキャップ。
どんなに折れそうになっても、人々に希望を与え続ける存在であるというのは、彼自身が考えるヒーロー像であるかもしれないが、その一方でそういう生き方しかもう出来なくなっていたのかもしれない。
世界を救うために70年間氷漬けになり、乗っ取られていた諜報機関と戦い、そして親友を守るために国連まで敵に回してアベンジャーズメンバーと戦ってきた。
常に自己犠牲を選択し続けてきた彼が最後の戦いを終えて、そこで初めて自分の中にあるものにようやく目を向け始めた。
人々から”キャプテン・アメリカ”というヒーローとしてあるべき姿から、”スティーブ・ロジャース”としてのありのままのありたい自分へ。
そんな思いがラストのファルコンへシールドを託すシーンに詰まっている。
そこから、かつての約束を果たすかのようなペギーとのダンスと「キャプテン・アメリカ / ウィンター・ソルジャー」での「It’s Been A Long, Long Time.」を流すなんて、本当に粋な演出。

ここまでソーとキャップがあるべき姿よりもありたい姿を選んできたように、トニーも自分自身のあり方を選ぶことが今回のテーマ。
他のヒーローたちと違い、親友のローズやハッピー、妻のペッパー・ポッツを失わず、ポッツとの間にはモーガンという娘までできた。
見知らぬ誰かを守ること以上に、自分も背負うものが増えてしまい、死んでも死ねないという制限が加わってしまった。
最終決戦を見るとポッツに限ってはまさかのレスキューとしてバリバリのヒーローデビューしてたので、果たして守る必要があるのか、むしろ守られるまであるんじゃないの?というレベルだったけど、父親になったという心理的負担は大きい。
そんな唯一幸せな暮らしを送れていると言える彼だったけど、それでもピーターを失ったことが心の片隅に残り続けていた。
エゴイズム全開だった最初のころから、自己犠牲の精神に目覚めてアイアンマンとして世界を救うために奔走していたが、結局恐れていた結末を止めることが出来ず、キャップやスコットたちがリベンジの話を持ち掛けてきても、再び戦うことに意味を見出せなくなってしまっていた。
だがそこにポッツの言葉もあって、自分の中にあるありたい姿であろうという思いが芽生える。
それは彼が最後にガントレットを手にした時のセリフ、サノスが「自分は絶対者だ」と対になるもの、そして何より彼がアイアンマンというヒーローとしてあり方を宣言した時の言葉と同じ、「私がアイアンマンだ」という言葉に何もかもが表れている。
彼が選んだ自分のありたい姿はアイアンマンというヒーローだった。
全編通して今までのシリーズを踏襲したセリフがいくつもあったけど、最後の最後に原点である「アイアンマン」でのセリフに帰ってくるとかめちゃくちゃにずるい、そんなの泣くに決まってる。

(5/1追記分)
主にトニーに焦点を当てたお話です。
https://twitter.com/SOxalic/status/1123639108239118337?s=19

さて、ここまで約4000字に渡って思いの丈をぶちまけてきたけど、ガーディアンズやハルクやアントマンたちに触れれてないし、これからの展望と期待も全然書けてないけど、とりあえずここでおしまいにする。
確かにこれ1本で考えると、インフィニティ・ウォーの方が娯楽色が強くて楽しいというのも分かるけど、まかり間違ってもこの映画はこの1本だけで決まるようなものじゃない。
11年間22本という長い長い戦いのその最後の総決算、このシリーズそのものを振り返るエンドロールみたいなものだと思っているので、スコアが到底5点なんかじゃ足りない。
次の10年はどんなものが見られるか分からないけど、この映画みたいに観たかったもの、そして思いもよらない素晴らしいものが次のシリーズでも見られたら良いな。