柏エシディシ

アベンジャーズ/エンドゲームの柏エシディシのレビュー・感想・評価

5.0
ドラッグとアルコールでキャリアを棒に振りかけた演技派アクターが比較的マイナーなコミックヒーローを演じるという「チャレンジ」から始まり、10年。22本の映画。
これが到達点で、一旦の終着点。万感の思い。

観客にある程度の前提とリテラシーを要する作品を果たして、「映画」として認めて良いのだろうか?それは既に「映画」なのだろうか?という疑問を「インフィニティウォー」の時に感じないでも無かったのですが、エンドロールが終わり客電がついた劇場が暖かい拍手でつつまれる中、嗚呼、これこそ映画体験だ。と素直に思える事が出来たのでした。

ひとつの物語の中に、沢山の人がそれぞれの共感や感動を得ながら、同時にその瞬間を共有する。それこそが映画館で映画。
これを長い時間を掛けて、世界中で同時共有出来る強度と深度をここまで構築したスタッフやキャストに感謝の気持ちしかないです。
MCUは22本の映画シリーズではなく、22の物語で構成されたひとつの映画。

ストーリーテリングの仕掛けにより、まさにこの10年のダイジェスト的な構成にしつつ、大小の台詞や演出で、シリーズを総括するプロットもお見事。カーテンコールとしても完璧。
このシリーズに愛着と知識を持っている人ほど、作品が楽しめるというまさにカルト映画的な素養も十分。

サノスというある種の「正義」に対して、本当の「正しさ」とは?「正しい」選択が出来るヒーローとは?という命題に対するヒーロー映画としての「回答」にも真摯に向き合っていると思います。

敢えて苦言と懸念を申し上げるとすれば、アクションシークエンスはともかく、あるエモーショナルな重要なドラマパートでもCGIや合成に頼っているカットがある事。
そして、この映画がある意味ランドマークというか到達点になってしまったことによって、今後のコミック映画(とそのファン)は常に本作の大いなる影に悩まされる事になるであろう事。
「西部劇が廃れた様に、いつかヒーロー映画も廃れていくであろう」という誰かの予言のはじまりなのかも、と思ったりしたり。