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アベンジャーズ/エンドゲームの2049のレビュー・感想・評価

5.0
字幕で鑑賞し、あまりの映画体験に思考が全くまとまらず、やっと吹き替えにて2回目を観て来たので何とかレビューしたいと思います。

一度目の鑑賞後に胸に押し寄せた感情の濁流の中で最も大きかったのは喪失感だったかもしれない…もう会えない、もうこのヒーロー達の新作映画は観れないんだ、という喪失感。
リアルタイムで全て劇場鑑賞したわけではないが、21作品全て鑑賞してきた自分にとってMCUは、自分が思っている以上にとても大きく大切なものになっていたようだ。

アベンジ(avenge)は正義感による悪への報復という意味合いをもつ。
この言葉の意味から考えても、前作で完全敗北したヒーロー達が反撃に転じる本作が21作品を作り上げてきたMCUの集大成であり、真に描くべきラストであることは明白だ。

以下ネタバレありますので未見の方はご注意下さい。

本作の前半部では、全宇宙の半分の生命が消し去られてしまったその責任の所在が自分達が敗北したことにあると、自責の念により押し潰されそうになっているヒーロー達が描かれる。
大いなる力には大いなる責任が伴う…サノスを止められるのは自分達しかいなかった。敗北し、ヒーローとしての責任を果たせなかったアベンジャーズのメンバーそれぞれが苦悩する。
取り返しのつかない敗北を認められずサノスの首を切り落としたソーの背中からは、ガラガラと心が崩れ落ちる音が聞こえるようだ…


タイムトラベルが描かれる中盤部はMCU21作品を追いかけてきたファンへの過剰なほどのサービスシーンが連続してとても楽しい。
GOTGのオープニングがこんな形でまた見れるとは嬉しい限りだ。

ラストパートは壮絶なアクションの連べ打ちとなる。歯を食いしばり立ち上がるキャプテンと押し寄せるサノス軍。スクリーンに広がる光と闇の対比は素晴らしく、一枚絵にして部屋に飾りたいほど印象的なシーンだ。

キャプテンの「アベンジャーズ、アッセンブル!」からの大決戦は頭が沸騰しそうなほど血湧き肉躍り、熱い感情が胸の奥底から溢れ出る…ひたすら熱い展開、熱い画の連続に卒倒しそうになる。
それぞれのキャラクターが抱える思いを知っているだけに涙が次々溢れ出ててくる…特にペッパーがどんな思いでトニーを送り出し、自らもスーツを着て戦闘に参加したのかを考えたら本当に泣けてくる。ピーターを守れなかったことがトニーの心を蝕んでいくのを側で感じとっていたんだなぁ。
キャロルがサノスの頭突きを受けても全く動じず、サノスがギョッとするシーンはカッコ良かった!っていうかキャロルが可愛いしカッコいいしで最高。

疑問点や腑に落ちないシーンは確かにいくつかある。
キャロルは全宇宙を管轄して守っているから地球だけに留まれないと言うが、ストーンを使う時だけでも地球にいるべきでは?サノスは間違いなく全宇宙にとって最悪の敵なわけだし。
後はトニーは犠牲になる必要全くなかったんじゃないだろうか。キャロルがガントレット運んでたけど、キャロルが嵌めて指弾いちゃえば良かったんじゃ?キャロルなら絶対に死ぬことはないだろうし。アイアンマンで始まり、アイアンマンで締めたいという作り手の意図は分かるが、納得できるような展開が欲しかった。
そもそもワンダとキャロルさえ居たら敵全滅させられるんじゃないだろうか。
ってこのツッコミをしちゃうと他のヒーロー必要無くなっちゃうからするべきではないだろうし、作り手側も分かった上で作ってるんだろうけど。

サノスの半分を犠牲に半分を救うという倫理観に対して、ヒーロー達の回答がないのも少し引っかかる。「人を救うのに理由は要らない」とか陳腐なセリフでもいいからそういったシーンが欲しかったなぁと思う。

全体的にご都合主義的な展開も少々目立つ気もする…アベンジャーズ一作目のメンバーはたまたま生き残ったり、アントマンはネズミが装置の上に乗ったことで量子世界から帰還出来たり…

ただ、そんな不満点なんかどうでも良くなるくらい本当に強烈な映画体験だった。全世界歴代興行収入が1位になるのはほぼ確実だと思う。
21作品それぞれがクオリティが高い作品ばかりであり、その全てが繋がっていて、更にほとんど綻びを生じさせず完璧な形でラストを迎えたMCU。とんでもない偉業だ。

映画史上前例の無い壮大なサーガを作り上げた人々に拍手を送りたい。
そして今後も続いていく新たなステージへ突入するMCUに期待したい。
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