暮色涼風

アベンジャーズ/エンドゲームの暮色涼風のレビュー・感想・評価

3.2
MCUシリーズが好きな人には申し訳ないが、自分にはあまり肌の合わない商品だった。

取り返しのつかない状況からさらにストーリーを展開させ再起を図るには、"時間移動"というタブーのような最終手段があり、スーパーマンも地球を逆回転させることで時間を巻き戻すという荒技を使っているが、やはり一度死んだ人間が生き返ったり、やってしまったことが無かったことになるというのは、都合が良すぎるように感じてしまう。この"時間移動"の使い方は要するに、ストーリーテラーの逃げだ。
タイムトラベルものがいけない、現実的にあり得ないとナンセンスな事を言っているのではない。それに必然性があるか。リアルな感情があるか。説得力があるか。それらが欠け、胡散臭い要素が少しでも見つかれば、それが都合のために感じられ、"本物"とは思えなくなってしまう。

また、強すぎるキャプテン・マーベルが結局は最初から仕事をしていれば楽だったわけで、ピンチに陥るここぞという時まで、理由もなく気配を消してサボっているところも、脚本家の都合次第で行動を起こすか待機し続けるのか決定されている感じが否めない。

その御都合主義なシナリオに、いくら大金をはたいて派手な演出をして、美男美女の役者を立たせCGの最先端技術を用いて撮り、大きいスクリーンと優れた音響で鑑賞させて感動が増したとしても、数日経てば中身の薄っぺらさに気がつくだろう。

マーベルのいくつかの作品は好きなものもあるが、全部一緒にごちゃまぜになると苦手だ。
色んなスパイスが混ざってカレーになるなら良いのだけど、家系ラーメンと、チョコパイと、かつ丼と、芋けんぴと、ジンギスカンと、よもぎ団子と、コーラと、牛乳は別々で頂きたい。

あと、どや顔しすぎなヒーローより、苦悩し続けている不幸なヒーローの方が、人間味のあるドラマがあって好き。
だからこの中ではホークアイの葛藤が一番好きだし、『ウォッチメン』のロールシャッハや『ダークナイト』のバットマンも好きだ。『スパイダーマン』シリーズも記憶によく残るのはサム・ライミ版の方だ。
彼らの心理や葛藤は"本物"である。
暮色涼風

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