ymd

アベンジャーズ/エンドゲームのymdのレビュー・感想・評価

5.0
これまでのMCUの総決算であり、最高傑作だった。MCUはこれをクライマックスとして長大な1つの映画を作りたかったのだと改めて感じたと同時に、この完璧な幕引きから逆算して周到に構築されてきたのかと思うとより一層凄みを感じさせる。

3時間という圧倒的な尺をまったく感じさせず、テンポよくエンドロールまで進めていく構成力は見事という他なく、ルッソ兄弟がMCUにもたらした功績の大きさに惜しまない拍手を送りたい。

IWが完膚なきまでに絶望を叩きつけたシリアスな内容だったからか、今作は随分とユーモアのある笑いに特化した作風になっている。特に中間パートで過去にタイムスリップする下りなんかはこれまで熱心にシリーズを追いかけてきたファンは泣き笑いすること必至。GOTG vol.1で最高だったオープニングシーンなんか変な声出して笑った。

ソーのリボウスキ感とか絶妙すぎて最高だったし、“アメリカのケツ”のくだりなんかもキャプテン・アメリカのダサいスーツすら愛おしくなってきてる視聴者に改めてダサいという事実を呼び戻してくれる感じとか。

あと、これまでイマイチ扱いが微妙だったネビュラに大きくフォーカスしているのも個人的にはすごくグッと来て、トニーとのゲームのシーンや「こいつか木の二択だった」のくだりなど、とにかくチャーミング。ジェームズ・ガンとかタイカ・ワイティティらのオフビート感も完璧にモノにしている緻密さは見事という他ない。

そしてこれまでを知るからこそ泣けるシーンも多く、スティーブとトニーの会話とか、ナターシャとクリントの結末とか、ピーターとトニーの再会とか、チーズバーガーとか、至るところで涙腺がやられた。

ストーリー自体は正直荒っぽいし、ストレンジの確率よりずっと簡単じゃないか、とか、キャプテン・マーベルがこんな扱いならそもそも登場させなくて良かったんじゃないか、とか気になるところも多いけど、そんなこんなを帳消しにするくらいエネルギーに満ちているし、純粋に楽しかった。

正直MCUは最初この壮大さに辟易したし、あんまり面白いと思えない作品もあった。
でも、ここまで愛のあるクライマックスを迎えてくれたことは素晴らしいとしか言えないし、見続けてきたファンへの最高のプレゼントであった。
だからこの点数はこの映画単体に向けてではなく、これまでに積み上げられた歴史に対してである。

これで一区切りつくわけだけど、これからもMCU追い続けることになるだろうな。
ymd

ymd