コウ

殺されたミンジュのコウのレビュー・感想・評価

殺されたミンジュ(2014年製作の映画)
1.0
孤高の奇才・キム・ギドグが韓国にいまだに蔓延る体制的政治に対する怒りをぶっつけた映画、という認識で果たして正しいのかどうか分かりませんが、、ただのサスペンス映画でないのは確かです。

殺された少女は明らかに『死にかけた民主主義』のメタファーとして描かれており、その抹殺に加担したのは(ただ上から指示されただけ)と開き直る普通の市井の人々。つまり少女を殺すのはあなたであり、もちろん私や、あいつや、あの人達である…。

おそらくこういう話の筋でなかったかと理解しましたが、ギドク監督はこのような哲学まがいの作品を資金不足でたったの10日の撮影期間、同じく資金不足による1人8役の設定、お世辞にも美しいとは言えないカメラ撮影と雑な編集も自らが行い、あまりに中途半端な出来であるにも関わらず自分の名声の力のみで世に送りだしてしまいました。
まぁ俺が作ったんだからいいだろう、みたいな…。

どうりで観て困惑する映画です。

『少女をなぜ、誰が、何の目的で殺したのか…。少女は一体どんな秘密を抱えて抹殺されたのか…』

キム・ギドグを詳しく知らない、この映画のポスターや予告編を観た多くの人々は、この作品が韓国サスペンスの娯楽作品だと認識したはずです。当時の自分もそうでした。

しかし蓋をあければ策士の芸術監督にまんまとしてやられましたね(苦笑)


この映画はキム・ギドグ自らも認める失敗作でしょう。こんな人を喰ったような映画はお蔵入りにして欲しかったものです。観たい映画は他に沢山あるのですから。

辛口過ぎてすみません💦💦
コウ

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