救いがありそうで…ない。
映画も深ければ
韓国の闇も、深い。
劇中でも触れられてるとおり
誰の心にも
その人なりの、信念がある。
自分が定めた信念に忠実であることは
時として他者には狂気に映る。
水槽にドジョウ一匹だと死んでしまうが、ライギョを放つことでドジョウは逃げ回り、結果的に健康で長生きをする。
主人公が最終的に辿り着いたこの答えは、非常に考えさせられる。
誤解を恐れず言えば
闇の中にうごめく人間たちの群像劇を見ているようだった。
登場人物の誰に感情移入するかによって、感想は180度変わってしまうような、とても計算された素晴らしいシナリオだと思うが…残念ながら、救いがない(>_<)
ここからはあくまでも一般人代表としての個人的感想。
無秩序に殺されたミンジュ、
その殺人がすべての始まりに他ならない。
しかし残念ながら、その殺人をも「信念」をもって正当化してしまう人間がいるということ。
ミンジュの兄が導き出した結論は、ミンジュの殺人に関与した者、そういう韓国国内の強者主義に携わるものたちに自白させ、悔い改めさせることだったように思うが、
どんな拷問にかけられても、誰一人としてすぐには自白しないし、ほぼ全員が「俺を誰だと思ってる?こんなことしたらお前らただじゃ済まないぞ!責任者を出せ!」などと権力を振りかざす。
権力者になればなるほど、その間違った信念の貫き方に驚かされるし、
ミンジュの兄を演じるマ・ドンソクに同情してしまう。
ミンジュの兄は、
どんなに復讐しても、
どんなに拷問しても、
何も浮かばれないことを悟っているかのようだった。
そのうえで、せめて殺人に関わった人間たちに、人としての正しい信念や思想、倫理観を問いただし、罪を認めさせようとしている気がしたのだが…
ほんとに、
性根が腐ってる人間どもときたら…。
日頃よく観るエンタメ100%の韓国映画とはちょっと趣が違うが、キム・ギドク作品は独特の作品で、面白い…いや、面白いというか…なんというか…
興味深い笑