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殺されたミンジュのkazuのレビュー・感想・評価

殺されたミンジュ(2014年製作の映画)
3.0
救いがありそうで…ない。

映画も深ければ
韓国の闇も、深い。


劇中でも触れられてるとおり

誰の心にも
その人なりの、信念がある。

自分が定めた信念に忠実であることは
時として他者には狂気に映る。


水槽にドジョウ一匹だと死んでしまうが、ライギョを放つことでドジョウは逃げ回り、結果的に健康で長生きをする。


主人公が最終的に辿り着いたこの答えは、非常に考えさせられる。


誤解を恐れず言えば

闇の中にうごめく人間たちの群像劇を見ているようだった。

登場人物の誰に感情移入するかによって、感想は180度変わってしまうような、とても計算された素晴らしいシナリオだと思うが…残念ながら、救いがない(>_<)

ここからはあくまでも一般人代表としての個人的感想。

無秩序に殺されたミンジュ、

その殺人がすべての始まりに他ならない。

しかし残念ながら、その殺人をも「信念」をもって正当化してしまう人間がいるということ。  

ミンジュの兄が導き出した結論は、ミンジュの殺人に関与した者、そういう韓国国内の強者主義に携わるものたちに自白させ、悔い改めさせることだったように思うが、

どんな拷問にかけられても、誰一人としてすぐには自白しないし、ほぼ全員が「俺を誰だと思ってる?こんなことしたらお前らただじゃ済まないぞ!責任者を出せ!」などと権力を振りかざす。

権力者になればなるほど、その間違った信念の貫き方に驚かされるし、

ミンジュの兄を演じるマ・ドンソクに同情してしまう。


ミンジュの兄は、

どんなに復讐しても、
どんなに拷問しても、

何も浮かばれないことを悟っているかのようだった。

そのうえで、せめて殺人に関わった人間たちに、人としての正しい信念や思想、倫理観を問いただし、罪を認めさせようとしている気がしたのだが…

ほんとに、

性根が腐ってる人間どもときたら…。


日頃よく観るエンタメ100%の韓国映画とはちょっと趣が違うが、キム・ギドク作品は独特の作品で、面白い…いや、面白いというか…なんというか…

興味深い笑
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