キヨ

プリデスティネーションのキヨのレビュー・感想・評価

プリデスティネーション(2014年製作の映画)
3.9
<2015/3/19 新宿バルト9>
ロバート・A・ハインライン原作のタイムトラベル物。トリック自体にテーマの必然性があるのが見事。

主人公は過去の事件を未然に防ぐ、タイムトラベラー。ある大事件を起こした爆弾魔を追いかけ……という話。
内容のどこを言ってもネタバレになってしまうというほど、どのシーンも伏線になっていて、前半の冗長なシーンが後半に繋がるのが見事。また、まったく寄り道に話がそれないので、この手のパズル映画が苦手な人も、後半にはスッキリできるほど話が収束していく。

あらすじ、他の人のレビューにも書かれてる「卵が先か、鶏が先か」というキーワードから、SF慣れしてる人はだいたい読めるかもしれないが、真相は想像を越えたぶっ飛んだものになっていて斬新。ここまでミニマムで複雑なパラドックスを描いた作品は見たことない。その設定事態が「自己愛、アイデンティティ」といったテーマを象徴してるところも、ほんとに無駄がないと思う。
あと、個人的には「音楽は時を越えるもの」という理由から、タイムマシンがバイオリンケース型なのが地味によかった(笑)

もともと20ページ弱の短編ということもあるけれど、脚本とテーマを表現する演出がスタイリッシュで、小粒ながらすごく完成度が高いタイムトラベル映画。
キヨ

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