劇的なシーンや起伏に富んだストーリー展開がある訳ではないが、ずっしりと重厚な社会派映画だった。
特にラスト、ボストン・グローブ社のスクープ記事がきっかけで判明した神父による性的虐待事件発生都市名リストが映し出されるが、そのあまりの多さに絶句した。
しかもアメリカの都市名だけに留まらず、世界各国の都市名まで続けてズラズラと出てきたときの衝撃は、目を疑うほどの威力だった。
これほどの事件を起こしても、カトリック教会がまだ存続しているのはなぜか。
事件をもみ消し、被害者からの訴えを無視していたロウ枢機卿が、スクープ後にローマ最高位の教会へ栄転したのはなぜなのか。
確か全神父の6%もが小児性愛者との心理療法士の言及があったが、神父になりたければ去勢を義務付けるか、逆にプロテスタントのように妻帯を許可するくらいに思い切った対策を打つべきではないのか。
私は信者でないが、カトリック系の高校出身だ。その高校時代に受けた宗教の授業や宗教行事の記憶に思わず嫌悪感を抱いてしまったほど、衝撃的な内容の映画だった。
よく分からなかった点が一つ。
過去の性的虐待事件時に、エリックマクリーシュ弁護士や被害者ネットワークのフィルサヴィアノらがかつてグローブ社にリーク情報を送っていたのに、当時新聞社では取り合わなかった件、描写からてっきりスポットライトチームの部長が実は教会側と繋がっていて握りつぶしたのかと思ったが、どうも違うっぽい?
裁判を経て公開された証拠の手紙をロビーらがすぐには部長に報告しなかったり、野球観戦シーンでの部長の態度にも違和感あったので、ユダはこいつだな!と思って暴かれるのを待っていたのに…。
結局、ロビーが担当を引き継いだばかりの頃だったので、せっかくのリーク情報にも気づきませんでした…ってオチ?
この辺の事情が曖昧で消化不良気味だが、いい映画だった。