Skyler

スポットライト 世紀のスクープのSkylerのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ボストンのとあるローカル新聞社の長年慣れ親しまれた編集部長が惜しまれながらも退職し、何やら改革案を持つ新任の若い編集部長が就任し、部下たちは明らかに戸惑いを隠せないという何処にでもあるような職場場面から、
新任編集部長の元で、誰も手を出せなかった世紀のスクープを手にするまでの戦いの実話を淡々と描いている。

今では驚く者は誰もいない程に一般的な概念となった、神父による幼児への性的虐待。単に神父個人の罪とはせず、教会そのシステムのあり方を問うている。
キリスト教の施しの教えの特徴から、特に貧困層への教会の存在意義と価値は絶大で、彼らに神格化された、実際は社会の流れとは断絶した生活を送る神父という職業人の6%が性的虐待を行うという数字まで割り出した。
バチカンをはじめ、上層部はその事実に気づきながらも、改革という概念は一切なく、移動させてその場しのぎの対応。
故に現時点でも、泣き寝入りの被害者が後を絶たないのではないかとの見方もある。

地味な作風だが、一見何気無いシーンにも現代アメリカ社会の闇が見え隠れする描写などもあってなかなか丁寧なプロットで作り込まれている緻密さを感じた。

キャスト、脚本、演出、音楽全般において無駄な重厚感、感動の押し売り、意味不明な芸術を装うこともなく、中身だけで勝負を挑んだ傑作。
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