dai

スポットライト 世紀のスクープのdaiのレビュー・感想・評価

4.8
この事件についての報道は記憶していたが、ここまで大規模なものという認識がなかった。

全世界の神父の6%が小児への性的虐待をしていて、それを教会が組織的に隠滅していたという事件。なんともおぞましく胸くそ悪い事件。

この事件の背景には、教会の長い歴史と狙われた子供たちが貧困な家庭に育ち、敬虔なカトリック教徒であるということが関係していた。貧困ゆえ示談で済まされ、敬虔なカトリック教徒ゆえ神父へ従順でなければならないのである。

被害者へのインタビューを聞き、頭を抱える記者に対し、

「彼はマシだよ。だってまだ生きてるもの」

は胸が痛んだ。神父ー神の代理人ーの背徳的行動に神を信じられなくなり、自害した人がたくさんいたそうである。宗教を信奉する人にとって、神は生きる意味であって、その神を信じられなくなったらそれは生きる意味を失うことと同義であるのだ。

この映画からジャーナリズムの本来あるべき姿と状況を一変させる力を感じた。

納得のアカデミー賞作品賞。
dai

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