chikichiki

スポットライト 世紀のスクープのchikichikiのレビュー・感想・評価

3.7

実話ベースの作品として申し分のない完成度です!

若干会話による情報量が多いので、鑑賞中は結構集中力が必要でした。

アカデミー賞における作品賞・脚本賞のダブル受賞も納得の出来栄えで、ドラマ性のあるストーリーにミステリー風味も加わり、後半からの広がりを感じさせる展開や前半でのセリフが後半で活きてくる構成も見事です。

また、俳優時の自然でリアルな演技も素晴らしかったです。

本作の題名を象徴する様な「私達は毎日、闇の中を手探りで歩いている。そこに光が射して初めて間違った道だとわかる。」

とういう発言は、実際に事件を追っていて記者たち(特にロビー)に言わせた方がドラマチックになるところをあえて、物語上ではある種、外野的な立ち位置の新局長バロンがさらっと言ってしまうのがリアルだなと思いました。

エンターテイメント的な過度な演出がないのが本作の魅力だとおもいます。

しかし、現実に起こったことをリアルに描いているために、宗教観について深く理解できていない私の様な人間には、この事件の経緯やそれに対する憤り、また、いかにこの記事がセンセーショナルなものであったのか等が伝わりづらく、この事件を身近なものとして感じられないと、強く揺さぶられる様な感情起伏の面がごっそりに抜け落ちてしまうなという印象を受けました。

評価としては傑作!
しかし"素晴らしい作品=好きな作品"にはなり得ないのだと改めて感じ、言葉では理解できてもその本質を理解できていない感が残りました。
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