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スポットライト 世紀のスクープのsawakのレビュー・感想・評価

4.5
やがて全世界的に問題となる、カトリック教会の性的虐待事件を初めて暴いた地元紙、その活躍を描いた傑作。

「負け組チーム」の逆転譚…などではなく、ただただ良心に従って事件と向き合ういわば「普通」の記者を据えてジャーナリズムを描くこと、それ自体の意義が深い。捨てたもんじゃない。

また本作の記者たちの取り組みは、本当に私たちの想像を絶するはずで……、性的虐待という事実を(社内で)黙認してきた自責と、またカトリックという人生の指針が揺らぐ動揺と、二重の意味で傷つきながらもペンを取る…その決意が滲んでいて素晴らしい。
淡々とはしているが、編集もテンポがよくてとても勉強になる。

最後に、「(被害者にならなかったのは)運が良かっただけ」というセリフも何度か登場するが、それを聞いて納得し押し黙るキャラクターもいて、それだけ「社会の共有体験・公共」としてカトリック教会が子どもたちを含め地域社会に根を張っている証拠だと思うと、ゾクッと背筋が冷たくなる。
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