ほだ

スポットライト 世紀のスクープのほだのレビュー・感想・評価

4.0
カトリック教会の神父達が長年に渡り児童への性的虐待を行い続け組織ぐるみで隠蔽していたことを、ボストン・グローブ紙が暴くという実話に基づいた作品。

まずカトリックの性的虐待。1970年代から被害者達は訴えているものの取り上げられず、カトリックの組織は隠蔽し、警察は目を瞑る。エピローグがまさにそのシーンだった訳だが、このようなことが各地、各時代で行われていたそう。グローブ紙が2002年に報道するや全米や海外でどんどん明らかになり、その数10000件を超えているとのこと。もう、こうなるとキリスト教って何なの?と思わざるを得ない。神父も人間なので間違いはあると仮に譲歩した見方をしたとしても組織ぐるみの隠蔽はあり得ない。そういうことをやっているから同じような神父が現れ多数の被害者が生まれる。グローブ紙が一石を投じていなかったら神聖なるキリストの裏で今も続いていたことだろう。

映画に戻って、新聞記者の信念を見せてもらった。一つ一つ取材を重ね、新しい事実が発見されれば軌道修正しながら、来る日も来る日も取材活動。まるでパズルのピースを一つずつはめていくような地道な作業。ある記者が核心となる証拠を掴んでスクープにしようとデスクに提案するも、これだけでは枢機卿が謝罪して終わってしまう。この犯罪を止めるにはあと一歩必要と諭したところに信念を感じる。他社を出し抜いてのスクープ合戦ではなく、このおぞましい事件をグローブ紙が終止符を打つぞという信念。

2つの面から、新しく知り、そして考えさせられる作品であった。
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