すずり

スポットライト 世紀のスクープのすずりのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカの地方都市ボストンに蔓延る教会絡みの児童虐待を、地元紙のボストン・グローブが明るみにするという、事実に基づいたドキュメンタリーのような映画。

カトリック教会という長い歴史を持ち地域に根付いている組織が、組織ぐるみで神父の不祥事を隠蔽していたというのだから、アメリカ市民からすれば恐怖そのものなのだろう。正直、日本に暮らしていて無宗教な自分にとってはややピンと来ない部分もあったが、やはり信頼しきっているような生活の基盤が揺らぐのだと思うと、恐怖を感じずにはいられなかった。

この作品は記者達の取材の過程を地味ながらも丁寧に描写しており、オーバーに脚色していなかった点が、余計に恐怖を煽ってくるような感じがした。それでいて、作中に登場するジャーナリスト達は皆自分の生活を蔑ろにしてでも事件を暴くというジャーナリスト魂に溢れていて、観ていてとてもかっこよかった。

どうも最近の日本では、偏向報道のような記事が目に付いたり、ゴシップばかりが取り沙汰されているような気がしてしまう。一読者として批判的な視点でそれらを吟味する事がもちろん大事ではあるが、この作品のようにジャーナリスト達には矜持を持って仕事に取り組んで欲しいと切に願う。

ジャーナリズムの重要性や困難について細かい点まで追求して描かれた名作。
すずり

すずり