アキラナウェイ

スポットライト 世紀のスクープのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.0
くっ!!
や、や、闇が深過ぎる……!!

ボストンとその周辺地域で蔓延していたカトリック神父による性的虐待事件を報道すべく奔走する「ボストン・グローブ」紙の「スポットライト」チームの姿を描く、事実を基にした物語。

当初はゲーガン神父の子供への性的虐待事件のみを追っていたチームだが、やがて教会が事件を起こした神父を何度も異動させている事に気付き、教会による隠蔽が秘密裏に行われていた事を知る。調査対象の神父の数は、やがて13人、87人と膨れ上がっていく。

氷山の一角とはまさにこの事。
膨れ上がっていく調査対象者の数にはただただ驚愕。

何せ相手は教会という名の絶対権力だ。
キリスト教国における彼らの力は絶対。
被害者となったかつての少年達は、「神父は神そのもの」だと証言する。歯向かえる筈がない。

「パトリオット・デイ」や「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」(やっぱり副題がクソだな!)を通して、ボストンという街が地元愛と連帯感の強い地域柄なのは何となく感じていた。その地元の繋がりの強さが正のベクトルに働く分には良い。しかし、地元の平穏を脅かそうとするメディアに対して、負のベクトルに働く連帯感の強さは、何とも厄介だ。

派手な見せ場はあまりないものの、マイケル・キートン、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムスらが演じた「スポットライト」チームの地道な取材活動には不思議と惹きつけられる。

作風としては、実直、真面目、丁寧。

途中、2011年9月11日の同時多発テロが起きるが、そちらの描写もあくまでミニマムに抑え、聖職者による性的虐待事件からフォーカスは外さない。

それにしても、何故にこんなに、同性による小児性愛がカトリック教会内で蔓延(はびこ)るのか。
ちょっと、皆んな男の子好き過ぎない!?

プロテスタントの牧師は妻帯出来るが、カトリックの神父は妻帯出来ないという教理の違いも影響しているのかも知れない。

最後、少しだけネタバレ含みます。

















この映画のピークはエンドロール前のテロップよ。
暴き出された事実に、開いた口が塞がらない。

うそやん…。
思わず言葉に出たわ。

アメリカだけちゃうやん。
世界各国やん。
神父による性的虐待事件が起きた教会の数にびっくり。一時停止して全部確認しちゃった。

特定の宗教が良いとか悪いと批判する気はない。

ただ、人の業の深さに戦慄を覚える。