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ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅のTEPPEIのレビュー・感想・評価

3.8
日本より一足お先に鑑賞。人気ぶりは衰えず、ほぼ満席。今回、脚本はシリーズの生みの親J.Kローリングとハリー・ポッターシリーズを3度も監督したデビッド・イェーツの登板で、シリーズの味を残しつつ新たな物語を構築していく。今回5部作予定のシリーズの主役は、ハリポタより70年前が舞台のNYで後に「幻の動物とその生息地」という教科書を執筆するニュート・スキャマンダーである。まあこのニュートを演じるエディ・レッドメインのイギリス英語が凄い事すごいこと。しかし設定上、アメリカに来るイギリス人ということでそれをいじられるシーンも多く、ひとつの役作りなのは納得。率直にいうと5部作と幕開けという点と、これまでのハリポタのフランチャイズに引っ張られない新鮮さと、きっちり物語が成立している点で見ても新シリーズ始動として満足のいく出来だった。心配要素だったのはJ.Kローリングの脚本。映画と小説では全く異なり、説明的箇所が多くなると懸念したが、あえてシンプルに仕上げた印象。ダークでミステリアスな印象を踏んではいるが、これがアメリカの魔法省だぜと言わんばかりに考えも行動もポップだ笑。非常に明るく、好印象な映画に仕上がっている。聞いたストーリーでは逃げたビーストを回収するだけって感じだったが、二転三転変わる状況、ストーリーは駆け足になることなく伏線も張られて面白い。ニューフェイスの面々としては、ニュート・スキャマンダーを演じたエディ・レッドメインの好演は素晴らしい。魔法使いとしてのキャラクターよりも魔法が使えるマグルのような、傲慢ではなく、真っ直ぐなキャラクターはとても良かった。次に今作のヒロインを演じた、キャサリン・ウォーターストーンは遅咲きながら話題作に立て続けに出演し、本作でも見事である。いつも堅物だったりお怒りな役が多い彼女、実に表情豊かで惹かれる。コリン・ファレルがハリポタシリーズに出る!?っていうと一瞬違和感があるだろうが、このアメリカ魔法省という我々がまだ見ぬ雰囲気を出していた。久々にこういう役を見た気がする。本作はシリーズファンにはたまらない要素がある一方で、ハリポタのような巨大なバックグランドはない。それにしてもサプライズが多い本作。サプライズのたびに観客がわー!とかうぉー!とか、わかるわ〜笑 てぐらい程良くオマージュもある。魔法の描写も多く登場し、ご本家より出てるんじゃないかと思うくらい。あくまで今回はビーストに力を入れてると思うので、その辺も好感を持てた。非常に難解な企画だっただろう。元ある原作越して、全く新たなキャラクターを確立させるのは困難である。この映画の場合、リブートの風潮やプレッシャーを感じず、とにかく新たな世界の構築にワクワクしているのが伝わってくる事が1番の強みではないだろうか。
総評として、多少インパクト不足が拒めないがそれでも新たな試みのある「ファンタスティック・ビースト」は新たにハリポタの世界を新世代に提供する意思がある。熱狂的ポッターファンが昔のハリポタは、前シリーズは、とガミガミ言うより初めて魔法超大作に触れる新世代が得る新鮮味を理解することである。そういう点においてもこの映画は素直に楽しめたので、劇場に浸ることをオススメします。
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