もやし

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅のもやしのレビュー・感想・評価

4.9
めっちゃ心響く話だった!
こんな映画だと思ってなかった。

独特のチャーミングさ?みたいなものがあって、ハリポタとは全く雰囲気違うんだね。
魔法のワクワク感もありつつ。
映像表現が本当に情緒豊かで凄かったね。
大人向け魔法使い映画って感じだったね。
とても普遍的なテーマに溢れているし。
最初はとっちらかってるように見えたけど、最後のまとまりは綺麗だったね。綺麗すぎてちょっと鼻についたぐらい笑

登場人物も抑えめながら皆素敵だったね。
ビーストも結構象徴性と奥深さに溢れてたように思った。

ビーストの変な面白さもあって序盤は本当にポップな感じやったね。
でもなんだか色んな要素がありすぎたり、能天気すぎる感じもあって、ああなんかこのまま行ったらあんまり好きじゃない映画だなあとは正直思ってた。
でも中盤に来て突然の人の死。物語の意味合いが一気に変わった瞬間だった。

自分のようなめんどくさいタイプが一番入り込んだのは、やはりオブスキュラスという概念についてだった。
人の内面の葛藤と苦しみの象徴オブスキュラス。
少年期に、ごく一部の抱える苦しみが大きい魔法使いの内面に宿り、いつしか具現化し、敵意を持ち、世の中を破壊し、最後は本人を死に至らしめる魔力。
今回の話でも一人の子に宿り、とんでもないことになっていく。
この苦しみの部分はとても普遍的だと思うし、深く共感せざるを得ない。

そしてやはり必要なのは寄り添ってくれる人の存在。
この映画の心優しき人達の態度はとても思いやりと真摯さに溢れていて、本人の苦しみも相まって思わず泣きそうになる。
だが、やはりそれで全て良い方向に行くというわけではないのが、ね。

人間ドラマ要素もあり、恋愛要素も多分にあり、とても感動的で、ラストはそれが美しく収束していく。
でも、正直美しすぎやしないかと思わなくもなかった。
これじゃあの子の力というのがただの危険分子という扱いで終わってしまうのではないか。
もちろんそうではないことは描かれてはいるが、この終わりの美しさはそれを少し軽いものに感じさせてしまう。
もちろんシリーズ最初は前向きさを感じさせる必要があるし、これは単純に脚本の完成度の高さに他ならないから、全然良いんだけどさ。
これからの展開がどういったニュアンスのものになるのかとても気になります。
もやし

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