円柱野郎

名探偵コナン 業火の向日葵の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

劇場版「名探偵コナン」の第19作。
戦時中に焼失したとされるゴッホが描いた2枚目の「ひまわり」の模写がニューヨークのオークションに出品される。
その絵を落札した鈴木次郎吉は、その他の6枚の「ひまわり」とともに日本で展覧会を開催すると発表するが、その時、怪盗キッドが現れる。

劇場版では久々に怪盗キッドが登場した気がするけど、5年ぶりかな?
ストーリー的には「キッドは何故そんな行動をするのか…」という不可解さを強調することで話を引っ張っている感じ。
キッドの行動自体、奪っては返すという事の繰り返しなので、確かに不可解だ。
観ている間「このキッドが偽物だったり?」とか疑い始めるとキリが無くなってしまったけれど、終わってみればキッドはキッドだったというお話。
これ自体は観ている側として上手く煙に巻かれた気もして悪くはない。
(ちょっと勘繰りすぎてしまったのかもしれないw)
でも最後に協力しあうぐらいなら、回りくどい謎かけをする前に最初からコナンに事情を伝えるとかなんとかしとけばいいのに…、って思ったらダメなんだろうか(苦笑)

序盤は飛行機パニック映画、最後は巨大建造物が崩壊する災害映画風味。
コナンの超人的アクションはちょっと控えめになったけど、それでも最後の崩壊を生き延びるなんて、それだけで十分超人だな。
劇場版となって作り手の気が映像的なハデさに向いてしまうのは仕方が無いとしても、本作では謎解きや裏の事件に関する部分が、いつにも増して添え物みたいな感じだったのがどうも物足りない。
終盤は珍しく新一の声で推理ショーを展開するのは良いけど、犯人のゴッホを愛するあまり…という動機に対しての行動が飛躍しすぎていて共感しにくいのが微妙だな。
難儀なのは、そもそも全体的に「ひまわり」のウンチクを知っていないと話の仕掛けや感動が薄くなるという事か。
(一応説明はあるけどさあ。)

一番キョトンとしたのは、損保ジャパン日本興亜美術館に飾られた「ひまわり」の前で唐突に過去に何か別のドラマが差し挟まれる部分。
これ自体は2枚目の「ひまわり」が実は滅失していたはずの絵だったという伏線にもなるドラマなのだけど、これに関連した終盤の回想も唐突だし、兄殺しの殺人に至ってはストーリー上の必要性もいまいち不明な感じ。
なんだか回想部分の扱いは全体の流れの中で見るとチグハグな印象だった。
それでもこの要素をカットできないのは、それが本作での怪盗キッドの行動の理由になっているからだろうけど…。

ところで、ラストで何とか美術館の崩壊から脱出したコナンが水面に浮かんだ際、真っ先に水に飛び込んだ毛利小五郎はえらいな!
ちょっとしたことだけど、そこは良いと思った。
(それこそストーリーには関係ないがw)
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