『ファンタスティック・ビースト』第2作目にしてウィザーディング・ワールドシリーズの第10作目にあたる作品。
関係ないけどウィザーディング・ワールドっていうカテゴライズまったく浸透してない気がする。
物語は次第に本編を彷彿とさせるようなダークな雰囲気となり、「黒い魔法使い」ことグリンデルバルドや若き日のアルバス・ダンブルドアの登場などファンを喜ばせる要素も盛りだくさんとなっています。
ジュード・ロウは我々が知っているダンブルドアとは見かけこそ全然違うんだけど、若い頃はきっとこんな感じだったんだろうなっていう面影を感じさせる良い配役でした。
人々を魅了するユニークな世界観はまたしても健在で、観客はまだ見ぬ魔法を見るたびにワクワクした気分を味わうことができます。
ただ、この映画は紛れもなく『ハリー・ポッター』シリーズのひとつと言えますが、すでにニュート・スキャマンダーの物語ではなくなりつつあります。
前作でも気になった点なのですが、物語の対立軸にあるニュートとクリーデンスには現状ほとんど接点がありません。グリンデルバルドにしても然りです。
主人公であるはずのニュートがなんだか蚊帳の外なんですよね。
彼はグリンデルバルドとの戦争において鍵を握る人物という位置付けこそされているものの、なぜ彼でなくてはならないのかという理由は現段階ではイマイチはっきりしません。
「ダンブルドアとグリンデルバルドの過去編」をやりたいがために、無理やりニュートを突っ込んだという印象を受けてしまいました。
また、映画全体を通して見ると若干の詰め込みすぎ感も否めません。
ニュートの物語があって、クリーデンスの過去があって、ダンブルドアとグリンデルバルドの因縁があって、ジェイコブとクイニーの確執があって、リタの家族にまつわるエピソードがあって……
この映画ではいっぺんに複数のストーリーラインを追うことになります。
場面の繋ぎにも違和感を感じるシーンが多く、一度見ただけでは消化しきれないくらいの情報量がありました。
次回作以降の展開に向けて布石を多く散りばめているのは分かるのですが、まだ2作目なんだし、もうちょっと焦点を絞っても良かったんじゃないかな。
『ハリー・ポッター』シリーズにそんなに詳しくない人や興味のない人にとってはあまり親切でない構成だったような気がします。
このままグリンデルバルドとの戦いだけで最後まで観客の興味を引っ張れるのかも少し気がかりです。
グリンデルバルドはジョニー・デップの存在感もあって魅力ある悪役になってはいますが、キャラクターとしてはまだあまり掘り下げられていない状態です。
おまけに最後は打倒されるということも周知の事実なので、分かりきった結末をどのようにして盛り上げていくのかというところは製作陣の腕の見せ所だと思います。
考察の余地も多く、ストーリー的にも続きの気になる展開であり、演出面や映像面を含め楽しめる作品ではあったのですが、現時点ではまだ評価するのが難しいかなと感じました。
ニュートが主人公である以上、今後はやはり彼にしかできない、彼であるからこそ成立する物語を期待したいですね。
どんな展開になろうともシリーズのファンとして最後までしっかり見届けたいです。