エクストリームマン

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

2.8
I hate Paris.

回(あるいは巻数)を追うごとに重たく暗い話になっていくのは、J・K・ローリングの作家性なのだろう。1本の映画に対して(シリーズモノの2作目だとしても)要素を詰め込みすぎている感があるのは、たとえば攻殻機動隊ARISEシリーズのように監督が要素を削る判断が出来なかった結果なのかもしれない。

最早魔法生物は主題というよりも全体の中の一要素に過ぎず(副題が" The Crimes of Grindelwald "なのだから、少しも看板に偽りはないのだけど)、代わりに魔法界の思想的・実際的なコンフリクトがひたすら描かれていく。魔法界はひたすら旧弊的で陰湿な世界なので、その世界を変えていこうとする人間こそ物語の主人公に採用されそうなものなのに、本作でそのポジションには敵役:グリンデルワルトが配置され、代わりに主役は厭世的で幼稚な学者:ニュート・スキャマンダーである。そういう、世間から距離を置いている者すら否応なく戦争に巻き込まれていく様を描きたいということなのかもしれないけれど、それにしても物語へ関与させることに作者自身も難儀しているように見えた。

次作以降で、デウス・エクス・マキナが魔法生物になっている現状を変えられるのだろうか。エズラ・ミラーがあんな感じになって終わったので、あまり期待はできなさそうだけど。