コロッケもごば

ハン・ゴンジュ 17歳の涙のコロッケもごばのレビュー・感想・評価

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)
3.0
つらかったわ。
ほんとつらかった。

作品、もうすこし短くしてもいいんじゃないのかしら。せめてあと10分は短くしてもいいかなと。

亡くなった、親友のファオクがところどころ登場するんだけど、その登場の仕方がややわかりにくい。現実と回想の混在。それに気が付くのに少し時間がかかった。前置きなしに見るとこうなるのよね。

実話に基づいた話(女子生徒集団暴行事件, 2004)。
どう撮ったんだろう。わたしはどう見ればいいのかしらと、心が重かった。
作品は、強姦の描写よりも、被害者ゴンジュの孤独な心の揺れを丁寧に追っていて、きちんとした鑑賞の枠内に仕上がっていたと思う。それにしても、起こった事件の生生しさに絶句する。


大人たちの責任を痛切に感じる。
この女子生徒は、被害者なのに大人はだれも守ってあげていない。父親はクズ野郎、転校先の校長でさえも事実を知ると厄介者扱いをする。

ハン・ゴンジュ。なんて孤独だったんだろう。

最後、大きくて深い大海原が画面いっぱいに現れる。激しい波と、引きずり込まれるような潮が迫る。人の存在を許さない、荒れ狂った大海だ。

小さなゴンジュは波にあらがうように泳ぐ。
でも、泳いでも泳いでも、強い潮に押し流され、岸にたどりつけない。
彼女にできるのは、大海原の波を避けるように深く潜り込んだまま岸をめざすことだけ。決して波にあらがうことなく、水面に体を沈めたまま、ひっそりと泳ぎつづけるだけ。

とても印象的な描写だった。
被害者の女性は今も水面の下で、もがきつづけている。社会が忘れてもだ。

胸がしめつけられる。
誰かが演じなければならなかった。
チョン・ウヒさんの真摯な演技に拍手を送りたい。



ps. チョンウヒさんが今年30と聞いてびっくりした。